治療放置した歯から命取りの細菌に感染した男性 開胸手術で1億2000万円負担に
インフルエンザだと診断された男性が、実際は心臓弁の感染症だったことが判明。開胸手術を受けることになり、超高額の医療費を負担する結果になった。
アメリカ・オハイオ州に住む男性が、欠けた歯を放置したため感染症にかかり、開胸手術に至った。壮絶なケースを『NewYorkPost』が報じた。
■初診はインフルエンザ
オハイオ州出身のブランドン・ベイカーさんは、欠けた歯があり気になっていたが、治療費が高額になると予想されたため受診を先延ばしにしていた。
そんなある日、出勤途中に人生で感じたことのない不調に見舞われたというが、病院には行かなかった。
そうこうするうちに体調がさらに悪化し、医師の診察を受けるとインフルエンザという診断結果に。その後も病状が回復することはなく、数日後にシャワーを浴びている途中で気絶したという。
■救急車で搬送
シャワー中に気を失ったブランドンさんは、救急車で病院に運び込まれた。そこでも医師は、髄膜炎や気管支炎、肺炎を併発していたブランドンさんを、重篤なインフルエンザだと診断したという。
医師らは、まず肺に溜まっている液体を除去する処置を施した。ところがブランドンさんの心臓が正常に動かず呼吸困難に陥ってしまうため、急きょ集中治療室(ICU)へ移動させることになった。
結局、地元の病院では原因が解明できず、ブランドンさんは州立病院に搬送。それによってブランドンさんが患っているのは、重度の細菌性心内膜炎だったと判明した。
■心臓弁が感染
細菌性心内膜炎は心臓の室と弁に炎症を起こす病気で、命にかかわるという。しかし歯の細菌感染を疑っていなかったため、医師が病名を特定するまでに相当な時間がかかったのだ。
その後、10日ほどの入院期間で心臓疾患の可能性を疑われ、検査が連日続いたブランドンさん。一時的に自宅療養になると、1週間で抗生物質による処置の効果が出たため、歯医者へ治療に向かった。
最終的に欠けた歯を抜くと症状が落ち着いたことから、細菌感染と断定できたのだそうだ。この2週間後には、感染症によって損傷してしまった心臓弁を交換するため、開胸手術を受けた。
■抗生物質さえあれば…
ブランドンさんが不調を訴えてから開胸手術を受けるまで、7ヶ月が経過していた。歯の治療の際に抗生物質を処方してもらっていればよかったと、後悔を語っている。
また救急搬送や手術代、入院費を含めて83万ドル(約1億2,000万円)も医療費を負担することになったそうだ。
ブランドンさんが一連の出来事を説明する動画をTikToknに投稿すると、「無事でよかった」「歯医者の受診しなくては」といったコメントが、200件以上寄せられた。
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(取材・文/Sirabee 編集部・本間才子)