少年フットボールチームでコーチ殺人未遂事件 逮捕の父親は「指導方針が不満」
選手の親がコーチに瀕死の重傷を負わせ、逮捕された。犯行動機は「試合でうちの子をもっと使わないから」だった。
少年少女のスポーツチーム運営においては、コーチの指導方針と保護者の考え方があまりにも違うと、トラブルが起きることもある。なかには感情が激化し、激しい行為に出てしまう保護者もいるようだ。
アメリカのミズーリ州で重大な事件が起きたことを、『STL TODAY』『Sports Illustrated』などが報じている。
■選手の父親がコーチに発砲
10日、ミズーリ州セントルイス市のフットボール・チーム「セントルイス・バッドボーイズ」において、世間を震撼させる殺人未遂事件が起きた。
5歳から13歳までのユースチームが練習を行っていたなか、選手の父親であるダリル・クレモンズ(43)が、ボランティアでコーチをしているシャキール・ラティモアさん(30)にいきなり銃を発砲したのだ。
■実力派のコーチに嫉妬か
ラティモアさんは脚、腕、背中、腹部を撃たれて病院に搬送された。内臓の一部にダメージを負い治療が続いているが、命に別状はなく意識もはっきりとしている。
クレモンズ容疑者は、数年前までこのチームのコーチを務めていた。そのためラティモアさんに対し、並みならぬ嫉妬やライバル意識を抱いていた可能性が高いとみられている。
■トラウマを発症する子も
犯行後に逃走していたクレモンズ容疑者は、11日に自ら市警に出頭した。治安の悪い土地柄ゆえ、誰もが護身用の拳銃を持ち歩いているが、「練習場には持ち込まない」というルールがあった。それを破り、丸腰だったラティモアさんを襲ったことを認めたという。
地元の高校でも優秀な選手として活躍していたラティモアさんは、このユースチームの先輩でもあり、子供たちはよく慕っていた。
目の前でそのコーチが撃たれ、9歳と10歳の選手がPTSD(心的外傷後ストレス障害)を訴えるなど、子供たちは事件に強い衝撃を受けている。
■5人の子供を連れて来ることも
ラティモアさんは社会人向けのフラッグ・フットボールに出場していたが、数年前に交通事故で腰を痛め、選手としての人生は諦めた。現在はある工場で働き、時には5人の子を練習に連れて来ることもあった。
普段から公平なコーチングを心掛け、選手全員を試合に出すという方針だったといい、「勝ち」にこだわるクレモンズ容疑者はたびたび不満の声を上げていた。
犯行後もラティモアさんに対し、「うちの息子をなぜもっと試合で使わないんだ。お前は指導が下手だ」などと執拗に罵倒していたという。
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(文/Sirabee 編集部・浅野 ナオミ)