90年間延滞した本が図書館に返却 「早く他の本も返して」司書が訴え
図書館で延滞料金を徴収する国々では、何年も経ってから返却される事例がしばしば話題に。延滞料金の是非が問われているという。
ある男性が、義父の遺品の中から返却されずに残っていたという本を、90年ぶりにニューヨークの図書館へ返却し話題になっている。
通常、アメリカの図書館では返却が遅れると延滞料金を支払わなければならないが、延滞料金に上限があったことで、男性は胸を撫で下ろした。
『NEW YORK POST』や『Patch』などの海外メディアが報じている。
■1933年に貸し出された本
アメリカ・ニューヨーク郊外にあるラーチモント公共図書館に、1933年に貸し出された後に行方が分からなくなっていた本が戻ってきた。
それはジョセフ・コンラッド著の『Youth and Two Other Stories』(日本語訳未出版)という作品で、借り出し者は45年前に亡くなったという。
借り出し者の義理の息子であるという男性が遺品を整理していたところ、この本を見つけてラーチモント公共図書館に連絡を取った。
■高額な延滞料金の可能性も
アメリカの多くの図書館では、貸し出し期限を過ぎて返却された書籍に対して、延滞料金を徴収している。金額は図書館によってさまざまで、ラーチモント図書館の延滞料金は1日あたり20セント(約22円)だ。
延滞期間が90年となると、延滞料金は6,500ドル(約97万円)近くにも達する可能性があった。
ところが、ラーチモント図書館では延滞金に5ドルという上限があり、今回連絡を取った男性はホッと胸を撫で下ろしたという。
■「この出来事に倣って…」
ラーチモント図書館の司書は、この出来事について「非常に驚いた」と語る。男性が返却した本は、ラーチモント図書館の創立史上、最も長く貸し出されたことになるという。
また同図書館では今でも多くの本が返却期限を過ぎても貸し出されているままであり、これに倣って「早く本を返却するように」と主張している。
■延滞料金が返却しない理由に?
図書館で延滞料金を徴収する国々では、しばしばこのように何十年間も貸し出された本が返却されて話題になる。過去にもアメリカで110年間延滞した本が返却されたり、イギリスでは50年以上の返却期限を過ぎた本が図書館に戻ってきた。
いずれの場合も、延滞料金が廃止されてから本が返却されている。つまり延滞料金があることによって、あえて返却されない本が増えている可能性も考えられる。
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(文/Sirabee 編集部・広江おと)