博物館職員が贋作とすり替え本物をオークションへ 収入でアパートや高級車購入
ドイツの博物館職員が絵画を贋作と交換し、オークションに出していた。生活資金に充てていたという。
ドイツの博物館職員の男が、所蔵している絵画を贋作とすり替え、オリジナルを売却したことが発覚した。すべて生活資金に充て、贅沢な暮らしをしていたという。『CNN』や『The Art Newspaper』などが報じている。
■博物館所蔵品を生活費に
現在30歳の男が、2016年5月から2018年4月までの間、技術者としてミュンヘンのドイツ博物館で働いていた際に3点の絵画を贋作とすり替え、オリジナルをミュンヘンのオークションハウスに委託した。
ミュンヘン地方裁判所は今年9月11日、この男に1年9ヶ月の執行猶予付きの実刑判決を下し、ドイツ博物館に6万ユーロ(約942万円)を返済するよう命じた。
男はその金を、借金の支払いと贅沢な生活資金に充てていた。裁判で「新しいアパートを購入し、高価な腕時計を買い、ロールス・ロイスを買った」と明かしている。
■絵画3点を盗み売却
盗んだ絵画の詳細も明らかになった。手始めにフランツ・フォン・シュトゥックの『Das Märchen vom Froschkönig(カエルの王様のおとぎ話)』を贋作にすり替え、2017年にオークションでスイスのギャラリーが7万ユーロ(約1,107万円)で落札した。
さらにフランツ・デフレガーの『Zwei Mädchen beim Holzsammeln im Gebirge(山で薪を集める2人の少女)』とエドアルド・フォン・グリュッツナーの『Die Weinprüfung(ワインを味わう)』の2点は、約1万1,490ユーロ(約188万円)で売却。
別の絵画もオークションハウスで売ろうとしたが、失敗に終わったという。
■美術品の盗難が多発
『南ドイツ新聞』の取材によると、被害に遭ったドイツ博物館は現在、絵の返却を手配中だという。この博物館は、地元の財団や家族から遺贈を受けた歴史があり、多くの貴重なドイツ絵画が保管されている。
最近では大英博物館の上級学芸員が約1500点の収蔵品を盗み、そのうちの数点を海外通販サイトのeBayで安く売り、告発されたスキャンダルがあった。
美術館や博物館の多くの所蔵品が目録化されずに、知らないうちに収蔵品が保管庫から盗難に遭うという事件は、各地で起きている。
・合わせて読みたい→安田顕、『世界ふしぎ発見!』でミステリーハンターに初挑戦 「夢が叶った!」
(文/Sirabee 編集部・ジェス タッド)