サントリー烏龍茶に書かれた漢字3文字、2割超が誤解していた その正体に思わず感動…
『サントリー烏龍茶』のパッケージに表記された中国の地名。8割の人が正解したこちらの「漢字3文字」をご存知だろうか…?
世の中には「あれ、どっちだったかな…」とおぼろげに記憶してしまう事象が多々あるが、その正式名称が誕生した「背景」を知ると、思わず納得してしまうもの。賢明なる読者には既知の事実として映ったり、「細かすぎるだろ!」とツッコミを入れたくなるケースもあるかと思うが…決して少なくない人々が「誤って記憶している事象」の正体について探っていきたい。
今回取り上げるのは、大人気ブランド『サントリー烏龍茶』パッケージに記された「見落としがちな秘密」についてである。
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■「烏龍茶」といえばサントリー
数ある飲料ブランドの中でも「緑茶」ブランドは、まさに群雄割拠の修羅の国。ざっと挙げただけでも『伊右衛門』『綾鷹』『お〜いお茶』『生茶』など各社を代表する人気ブランドが揃っており、甲乙をつけるのが非常に難しい。
しかし、話題が「ウーロン茶」となれば『サントリー烏龍茶』の一強と断言できる。実際「烏龍茶」と聞くと、即座に同ブランドのパッケージを連想する人も少なくないのではないだろうか。
そこで今回は、全国10~60代男女1,000名を対象として『サントリー烏龍茶』パッケージにひっそり表記された「漢字3文字」に関する意識調査を実施することに…。
■約8割が「○○省」と正答
その設問内容は「『サントリー烏龍茶』の品質に対し、長年に渡って推薦状を出しているのはどちら?」というもの。選択肢に中国「福建省」と「広東省」の2つを設けたところ、全体の79.6%が「福建省」を選択し、残る20.4%が「広東省」を選択していたのだ。
日本の都道府県数は国民の常識だが、中国の「省の数」を問われると、即答できる人の方が珍しいだろう。それが「省の名前」を伴う質問であれば、難易度はさらに跳ね上がる。
しかし今回のアンケートでは、全体の約8割が正しい「福建省」を選択しており、改めて『サントリー烏龍茶』の認知度の高さを実感できた思いだ。
続いては「サントリー食品インターナショナル株式会社」に、同ブランドと福建省の関係について詳しい話を聞いてみることに。その結果、驚きのエピソードが多数明らかになったのだ。
■サントリー烏龍茶、そんな歴史があったのか…
今から40年以上前の1981年(昭和56年)に『サントリー烏龍茶』が誕生。
当時の様子について、サントリー担当者は「RTD飲料(購入後、そのまま飲める缶やペットボトル入り飲料)は果汁やコーヒーといった有糖系のものが主流でした」「そのため、無糖のお茶は『家庭で淹れるもの』として認識され、お金を払ってまで飲むものではない存在でした」と、振り返っている。
しかし『サントリー烏龍茶』は、食の欧米化に起因する世の健康志向の高まりに上手くマッチ。「味も美味しいし、しかも健康に良い」という口コミと共に世に広まり、多くのリピーターを獲得していったのだ。サントリー担当者は「『無糖のお茶を買って飲む』という文化を生み出すことにも繋がりました」と当時を振り返る。
続いては本題となる「福建省との関係性」について。中国・福建省はウーロン茶の一大産地で、なんとその生産量は全体の約8割を占めるというから驚きである。
サントリー担当者は「ウーロン茶発祥の地とも言われる『武夷山』周辺は、お茶どころである福建省の中でも古くから銘茶の産地として知られています」「同地では雨が多く、豊富なミネラル分を含む土壌のおかげで、美味しいお茶の木がすくすくと育つからだそうです」と、福建省の自然環境について説明する。
そして、もちろん『サントリー烏龍茶』はRTDに最適なものとして、武夷山で生産される芳醇な香りと味わいが特徴の茶葉を使用しているのだ。同ブランドはその品質の高さと、日本におけるウーロン茶市場の拡大、並びに福建省の「ウーロン茶葉品質向上への貢献」を認められ、同省から推薦状を授与されている。
現行のパッケージでは目立たぬ位置に表記されているものの、以前はブランド名の真横に大きく「福建省推奨」と書かれていたため、こちらが印象に残っていた人も少なくないだろう。
なお、今回の調査アンケート結果を年代別に見ると、若年層の正答率は約半分。一方で30代は7割超、40代は約9割、50代は9割超と、年代が上がるにつれて「福建省」を認知している割合が増加しているのだ。
こうした傾向を受け、サントリー担当者は「発売当初の80年代を中心に『烏龍茶はサントリーのこと』というコピーの下、中国・福建省を押し出しながら商品の品質感、安心感、茶葉へのこだわりを訴求したコミュニケーションを投下したことが、影響しているのかと思われます」と推測する。
そして前出の「福建省推奨」の表示についても触れつつ、「長年お飲み頂いているお客様には、馴染みのある言葉になっているのではないでしょうか」「おかげさまで今もなお多くのお客様にご愛飲頂いており、発売から40年以上経った今でも味わいはもちろん、茶葉の品質へも変わらずこだわり続けております。こだわり抜いたサントリー烏龍茶をぜひ、今一度手に取って頂けますと幸いです」とのコメントを寄せてくれた。
取材を進めると、産地との関係性やブランドが定着するまでの一連のドラマが見えた。『サントリー烏龍茶』は今後も、ウーロン茶を象徴する存在として、多くのユーザーに愛飲されるだろう。
■執筆者プロフィール
秋山はじめ:1989年生まれ。『Sirabee』編集部取材担当サブデスク。
新卒入社した三菱電機グループのIT企業で営業職を経験の後、ブラックすぎる編集プロダクションに入社。生と死の狭間で唯一無二のライティングスキルを会得し、退職後は未払い残業代に利息を乗せて回収に成功。以降はSirabee編集部にて、その企画力・機動力を活かして邁進中。
X(旧・ツイッター)を中心にSNSでバズった投稿に関する深掘り取材記事を、年間400件以上担当。ドン・キホーテ、ハードオフに対する造詣が深く、地元・埼玉(浦和)や、蒲田などのローカルネタにも精通。
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(取材・文/Sirabee 編集部・秋山 はじめ)
対象:全国10代~60代男女1,000名 (有効回答数)