建設現場の落下事故で男性が死亡 労働組合が安全管理の問題を指摘
建築現場の落下事故で男性が死亡し、工事会社のずさんな経営が浮き彫りになった。
建設現場に見習いで来ていた男性(17)が、足場から3メートル下に落ちて死亡した。工事会社のずさんな管理に疑問の声があがっている。『DailyMail』『News.com au』らが報道した。
■建設現場の落下事故で死亡
見習い大工1年のタイラー・ウィットン(17)さんが、オーストラリア・クイーンズランド州ブリスベン郊外のビル建設現場で、3メートルの高さから落下した。
意識不明の重体で搬送され、病院に到着するとすぐ昏睡状態に陥り、生命維持装置につながれた。頭を強く打ち付けており、すでに脳死だったとみられている。
そして事故の翌日、家族やたくさんの友人が見守る中、生命維持装置が外され永眠した。
■労働組合が警告
6月、この建設現場で働く作業員が、現場の安全管理に問題があると労働組合に調査を依頼。連絡を受けた労働組合のメンバーは、現場の現状を動画で撮影した。
動画には建設中のコンクリートビルが映っているが、いずれも落下防止の網が適切に張られていない。至るところに廃材やコンクリート片、鉄のワイヤーなどが無造作に転がっている状態だ。
撮影者は動画を回しながら、「なんという危機状態」とコメント。安全性よりも生産性を重視した結果が、このようなひどい状態に陥っていると批判した。
■事故後も工事続行
地域の労働安全衛生局が調査に現れたのは、事故発生から3時間たってからのことだった。
現場のトップデッキで明らかに高所から落下の危険が認められたにもかかわらず、コンクリート打設が許可され、何事もなかったように工事は続行していたという。
労働組合の建設部門にいるマイケル・ラバー州書記は、労働安全衛生局が工事の中止を命じなかったことを強く非難。「職場の安全衛生を管理するはずの監督官庁が機能不全に陥っている」と現状を重く受け止めている。
■建設事故は未報告
タイラーさんの事故の3日前、幹線道路工事の事故で測量士が亡くなっている。また2ヶ月前には、鉄道駅の工事に携わった作業員が高所から落下。一命は取りとめたが、かなりの重症と伝えられた。
ラバー州書記は、この件に関しても「安全基準が著しく不十分」と警告。しかし、建設現場における死亡事故や負傷は定期的に起こっており、しかも表立って報告されることは少ないのだという。
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(取材・文/Sirabee 編集部・本間才子)