数十人殺害した「イタリア最後のゴッドファーザー」死亡 30年間逃亡の末に今年逮捕
「イタリア最後のゴッドファーザー」と呼ばれた男が、61歳で死亡した。2002年には終身刑の有罪判決を受けていた。
イタリア・シチリアのマフィアのボスであるマッテオ・メッシーナ・デナーロが、61歳で死亡。今年1月には逮捕もされていた。『Sky News』や『Daily Star』などが伝えている。
■30年の逃亡生活
「最後のゴッドファーザー」と呼ばれたデナーロは、反マフィア活動で知られた判事のジョヴァンニ・ファルコーネさんの暗殺や、数十人の殺害に関与していた。
2002年に欠席裁判で終身刑の有罪判決を受け、その10年前から30年にわたり逃亡生活を続けた。
1993年夏には雲隠れし、その後はマフィアの仲間たちがさまざまな場所へと移動させ、彼の支持者や従順な町の人々は誰も居場所を明かさなかった。
今年1月に逮捕された理由も、彼が病気で治療が必要だったためだ。
イタリア・ラクイラ市のピエルルイジ・ビオンディ市長は、彼の死によって「暴力と血の物語に終止符が打たれた」と語り、死因について「病気の悪化によるもの」と述べた。
■数々の犯罪に関与
デナーロは1962年、イタリア・シチリア島のカステルヴェトラーノに生まれた。ドン・チッチョとして知られる父親のフランチェスコは、シチリア島の最西端にある町トラーパニ地方のマフィアのボスだった。
若い頃からマフィアの生活にどっぷりと浸かり、14歳で銃の訓練を受け、18歳で最初の殺人を犯したとされる。
複数のマフィアたちの殺害に加え、1993年にはローマ、フィレンツェ、ミラノで10人が死亡した爆弾テロ事件の首謀者としても浮上した。
その残虐性を象徴したエピソードの一つが、事件の捜査で不利な証言をしたマフィアの仲間であるサンティーノ・ディ・マッテオの11歳の息子の拉致事件だ。779日間人質にした後、首を絞めて酸で溶かす前に拷問したという。
■後継者はいない?
イタリアの国営ラジオによると、デナーロは死ぬ直前まで警察当局との対話を拒否し、絶対に組織の秘密を明かさなかったという。
イギリス・エセックス大学の組織犯罪の専門家であるアンナ・セルジさんは、「デナーロがマフィアの最後の一人かもしれない」と語る。
また「派閥化が進むマフィアの中で、誰が彼の後任になるかは明らかではない」「イタリアのマフィアがかつてのような指導力を取り戻したいのであればリーダーが必要だが、彼のようなボスはいない」とも語った。
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(文/Sirabee 編集部・ジェス タッド)