世界最小カメラが医療分野で需要高まる 血管に入る塩粒サイズ
世界最小サイズのカメラを、アメリカの企業が開発した。細い血管内でも使用可能で、医療で利用されている。
GoProなどアクションカムに代表されるカメラの小型化が進んでいるが、それよりも遥かに小さい塩粒サイズのカメラが誕生。「使い捨て内視鏡」などとして、医療分野で需要が増えているという。『NDTV』や『Odditycentral』など複数のメディアが報じている。
■ギネス認定された最小サイズ
世界最小の市販カメラモジュールとして誕生した『カメラキューブチップ』。アメリカ・ワシントン大学の研究者によって開発され、同国に本拠を置くオムニビジョン・テクノロジーズ社が製造し、サイズは0.65ミリ×0.65ミリ×1.158ミリだ。
『カメラキューブチップ』は「商業的に入手可能な最小のイメージセンサー」の部門で、2019年にギネス世界記録に認定されたイメージセンサー『OV6948』をベースに開発された。
こうしたカメラの小型化により、「使い捨て内視鏡」が実現。医療現場で内視鏡やカテーテルを使用する際に、体内の映像をこれまでより高い解像度で撮影できる。人体の最も細い血管内でも使用可能だという。
■診断に十分な解像度
塩粒サイズのカメラで、解像度200×200の画像(4万画素)をフルカラー撮影できる技術は画期的だ。一般的なカメラの解像度と比べると物足りないが、医師の診断や手術では補って余りあるスペックだという。
「使い捨て内視鏡」は人間の血管内に収まるように設計されているだけでなく、カメラの発熱を最小限に抑えることを実現している。また消費電力が低いため、内視鏡の遠位先端部での発熱も少なく、患者の快適性が向上してより長時間の処置が可能になるという。
■医療の課題に応える技術
「使い捨て内視鏡」は、これまでの医学的な課題を解決する点でも注目されている。まず患者の身体をできるだけ傷つけずに、負担を小さくしながら行う検査や治療を行う低侵襲性医療の機器として、優れている点が挙げられる。
そして従来の内視鏡検査の課題であった、体内に器具を挿入することで二次感染を起こすリスクを避ける安全面でのメリットも大きい。
■広い分野で需要拡大
フランスの市場調査会社『Yole Developpement』によると、今後予想される「使い捨て内視鏡」の出荷台数は今後5年間で35.9%増加する見込みだという。
その他にも技術を転用して歯科、動物の医療、法医学機器などあらゆる医療分野での利用や、IoT(モノのインターネット)、産業、ウェアラブル機器などでの実用化が期待される。
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(文/Sirabee 編集部・ジェス タッド)