賃金詐欺発覚で逮捕された女 16の仕事を掛け持ちするも一切働かず…
女は企業の面接を次々と受け、その様子を撮影して別の企業に「ミーティング中」と報告。こうすることで複数の企業に籍を置いた。
中国のある女が、夫と一緒に16の仕事を掛け持ちし、働かずに給料を稼ぐという賃金詐欺の疑いで逮捕された。中国ではこの種の労働詐欺が大問題になっており、多くのグループが常習的に雇用主から複数の仕事を受けているという。
『NEXT SHARK』や『INSIDER』などの海外メディアが報じている。
■面接の写真を「仕事風」に撮影
中国で、グアン・ユエという仮名を使用していた女が、就職面接中に詐欺の疑いで逮捕された。8月30日付の現地報道によると、グアンは夫とともに複数の仕事に応募して籍を置くことで、毎月多数の企業から賃金をもらっていたという。
グアンは企業の面接に応募し、担当者と話している間の様子を写真に写してもらう。そしてその写真を別の仕事場のグループチャットに送信し、いかにも「クライアントとミーティングをしている」ように見せかけた。
■仕事は仲間に分配
与えられた仕事に関しては、グアンと夫が仲間に売り、手数料を差し引いた分の給料を支払った。こうすることでグアンたち自身は少しも働かず、仕事を分けるだけで大金を得ていたのだ。
仲間の数を含めると、グアンの詐欺に関わった人数は53人にも上り、その被害総額は約5,000万元(約10億円)と推定されている。
収益は複数の口座を通じて送金されており、わずか3年で、ふたりは上海に豪華な別荘を建てることができたという。
■詐欺発覚の経緯
今年の1月、中国のあるテクノロジー会社が、8名の営業チームを雇用した。実はこのチームメンバーは全員がグアンを含めた詐欺のメンバーで、仕事をせずに賃金だけを不当に得ることを企んでいた。
営業チームは履歴書や面接では優秀に見えたが、実際には3ヶ月経ってもなんの成果も出さなかったため、テクノロジー会社はその営業チームを解雇した。
ところがその直後、この営業チームのリーダーが、誤って別の会社でも働いていることを示す写真をテクノロジー会社のチャットに送信してしまい、このほど詐欺の疑いで逮捕されることになったのだった。
■採用プロセスに疑問の声
中国では、こうした賃金詐欺が暴力団との関わりの中で広く行われている。ある詐欺グループは、メンバーの1人をとある企業の人事担当者として潜入させた。
面接を担当することになったそのメンバーは、自分のグループの仲間を次々に入社させて詐欺を行ったという。
現在、推定700〜800のグループが複数の雇用主から賃金を受け取っていると予想されており、中国国内では企業の採用プロセスに疑問の声が上がっている。
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(文/Sirabee 編集部・広江おと)