生理アプリへの個人情報登録は安全? 半数以上のユーザーが疑問視する調査結果
イギリスのデータ保護監視機関が、生理・妊娠トラッキングアプリのデータにおける透明性を検証。ユーザーからは不満の声が上がっている。
スマートフォンが普及し、アプリという便利なツールを使う人が多い現代。最近では、生理周期を管理するアプリで妊活に役立てるという人も増加しているという。調査会社が分析したユーザー体験を、イギリスメディア『BBC』がリポートしている。
■生理アプリは妊活で人気
生理アプリは、生理の周期を記録することで主に妊娠の計画を立てたり、妊娠の進行や経過を観察するために用いられているツールである。
日本でも数多くの生理アプリや妊活アプリが利用されており、登録数が2,000万人を超すメガアプリも存在する。
体温や体重、血圧といった体調記録がメインとなる一方で、ダイエットに良い日や肌のコンディション予測などをアドバイスする機能が搭載されたアプリもある。
なかには、母子で情報を共有する生理アプリもあり、生理周期が不順な10代に活用されている。
■ユーザー半数以上が「安全性」心配
このたび、イギリスに住む18歳以上の1,152名を対象に、25アプリについての意識調査が実施された。
調査会社によると、アプリ利用者の半数以上が、登録以降に不妊関連の広告が急激に増えたと実感しているという。マーケティング手法という見方もある一方で、ユーザーの17%は苦痛と感じているそうだ。
アプリ選びで重視することに、59%が「データ使用法の透明性」、57%が「安全性」と答え、いずれも「コスト」や「使いやすさ」を上回る回答だった。
なお2022年に実施された介護・健康アプリに関する調査によると、ほとんどの期間の追跡情報は第三者と共有していたことが明らかになっている。
今回の25アプリを調査した結果では、1社のみがユーザーの携帯電話だけに個人情報を保管する方法をとっていたという。
■個人情報漏洩の危険性
アプリに登録した個人情報が第3者機関に共有されてしまう危険性については、以前からたびたび指摘されてきた。
消費者レポート月刊誌『 Consumer Reports』によると、生理アプリは行為の頻度、妊娠状況あるいは流産したかどうかなど、極めて個人的な情報を収集する。
個々の人権保護の観点からだけでなく、ユーザーデータは広告のターゲティングや、生命保険の補償、ローン利率の決定を左右する要因になりかねないと言及している。
また州によっては中絶禁止を法律で定めており、流産などの履歴が中絶の間接的証拠として扱われるなどの混乱を招きかねないと、警鐘を鳴らしている。
■情報保護への呼びかけ強化
調査機関はアプリのユーザーに対し、アンケート調査の経験を共有するよう呼びかけている。また、フォーカスグループやユーザーテストを委託し、女性の健康団体などの支援のもと、さらなる調査を継続する考えだ。
イギリスの規制当局も、自国のユーザーが利用しているアプリ提供企業に連絡を取り、ユーザーの個人情報をどのように処理しているかを調査しているという。
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(取材・文/Sirabee 編集部・本間才子)