アラスカ深海で新種の“卵”を発見か DNA分析の結果に期待集まる
アラスカ深海で、未知の海洋生物の卵らしき物体が発見されて話題になっている。
イギリスメディア『The Guardian』によれば、アラスカ沖で皮膚のように滑らかで光る個体が発見され、話題になっているという。発見したアメリカ海洋大気局(NOAA)の科学者らは、DNA解析を急いでいる。
■アラスカ沖をマッピング
8月23日から9月16日にかけ、アラスカ沖のカナダ海域で「シースケープ・アラスカ5探検」と題したマッピング作業が行われた。656フィート(約200メートル)から820フィート(約250メートル)の深海が、重点的に探査されたという。
この海域はマッピングデータが乏しいため、遠隔操作可能な潜水機材も活用して、領域の地理的情報を埋めていくのだという。マッピングデータは将来の探査活動に役立てられるほか、海洋環境のベースライン評価を得るために活用される。
また深海のサンゴ、海綿、魚の生息地、化学合成生物群集と水柱を調査し、過去や潜在的な地質災害に関する情報収集としての重要な役割も担っている。
■金色に光る謎の卵
8月30日、NOAA船オケアノス・エクスプローラー号のミッション要員がアラスカ湾で遠隔操作車を使用し、水深約3,300メートルの岩の露頭の上を滑空中に黄色いものを発見。
直径10センチ程度の表面が滑らかなドーム状の物体で、岩に粘着しており根元に小さな穴か裂け目があった。
科学者たちは、カメラがズームアップするにつれて金色に光って見える謎の個体に困惑。生命体であるかどうかも不明で、最初はサンゴの卵の外皮やスポンジの残骸などと考えたそうだ。
画像では物体が金色に光って見えたが、探索船のライトの反射によるものと判明。実際はくすんだ黄色、あるいは焦げ茶色の表面が皮膚のように滑らかな個体なのだという。
■未確認標本のDNA解析急ぐ
科学者たちは物体の正体についての仮説を立て、穴は生物が孵化した後か、あるいは捕食者が侵入することによってできたと示唆した。
ある科学者は「突いても何かが出てこないと願うばかりだった」「ホラー映画の始まりを彷彿させた」と話す。プリマス大学の深海生態学者であるケリー・ハウエル教授によると、探査ミッション中の新種発見は珍しくはないが、通常はある程度のカテゴリーに分類できるという。
しかし、今回発見された個体は想像すらできない未知の物体。DNA検査により、どの海洋生物科に属すかが判明するはずだが、正確な種を特定することは不可能かもしれないと危惧しているそうだ。
■人類を救うかも?
NOAA海洋探査局のサム・カンディオさんは、「新種は未知の生命発見だけでなく、医療療法やワクチン、食糧、エネルギー、その他の社会的利益や知識の新たな情報源を明らかにする可能性を秘めています」と言及した。
また「探索で収集されたデータと情報を分析すれば、この地域に関する理解のギャップを埋め、より適切な管理と保護ができるようになります」とも話している。
■アラスカ深海で新種の卵を発見か?
This golden orb, likely an egg casing, struck an imaginative chord for many watching yesterday.
Today we dive on Denson Seamount. ROVs are launching & will remain on the seafloor until ~ 3:45pm ADKT/7:45pm EDT.
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— NOAA Ocean Exploration (@oceanexplorer) August 31, 2023
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(取材・文/Sirabee 編集部・本間才子)