全長わずか30センチのサメに襲われたボートが沈没? 乗組員は無事に救出
小型の船が、わずか30センチほどのサメに襲われ沈没した。
オーストラリア海事当局が、ロシア人とフランス人の乗るカタマランボートが沈没し、パナマ船籍が救出したと発表。沈没の原因は、なんと30センチほどのサメだったという。『USA TODAY』や『The Guardian』などが伝えている。
■ボートがサメに襲われ沈没
ロシアのオーシャンウェイ世界一周の航海に出ていた乗組員3人が、ケアンズの南東約835キロの太平洋でサメに襲われた。3人は、カタマランボートという2つの船を平行につないだ形状のボートで航行。このボートは軽量なため、高速で走れるのが特徴だ。
サメの攻撃を受けたのはボートの後部で、左のシリンダーが損傷して徐々に浸水していった。その後、ボートは約160キロにおよぶ航海を続けるものの、5日の夜に再びサメに襲われて右のバルーンが突き破られ、とうとうバランスを失って沈み始めたという。
同日23時ごろにSOS信号を受信した沿岸本部が、迅速にオーストラリアの救助サービスに通知。45分後に上海に向かっていた貨物船に救出された。
■全長30センチのサメの脅威
カタマランボートを襲ったサメはクッキーカッターシャークという種類で、体長は20~30センチほどの深層に生息する夜行性のサメだ。イカなどの甲殻類を主食とし、尖った鉛筆のような歯で一口大にくり抜いて獲物を捕獲する。
また視野が狭いため、目の前に現れるアザラシやクジラといった自分より大きな個体を襲うことも分かっている。
なお海洋生物学者によれば、クッキーカッターシャークは厳密にはサメの仲間ではなく、寄生種に属するという。また発光器官を持っており、獲物をおびき寄せたり敵の攻撃を防御したりするために、体が緑に光って見える。
■サメの被害は多数
本来深層に生息するクッキーカッターシャークは人間を故意に襲うことはないが、以前には7歳の少年が足を噛まれるという事故が起きているという。また動物だけでなく、ケーブルや海底の船などの無生物を噛んだという事例も報告されている。
集団で行動することが多く、餌と認識した個体に複数で攻撃するため、船の浮きに相当するような柔らかい素材は攻撃されやすいと専門家は見ている。
■乗組員「これが普通だよ」
救出された3人の乗組員はABCのインタビューに答え、「海ではこれが普通だよ。常に何か起こる」「20匹くらいはいたかな。タイタニックみたいに沈んでいったよ」と当時の状況を説明している。
オーストラリアの海事安全当局は、ライフジャケットの着用はもとより通信機材やGPSの搭載など、危険への対策を常に万全にしてほしいと呼びかけている。
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(取材・文/Sirabee 編集部・本間才子)