福島第一原発処理水の海洋放出 中国などの抗議には5割弱が「理不尽」
先月から始まったALPS処理水の海洋放出。中国では激しい抗議が起きているがその印象を調べたところ…。
8月24日から始まった、東京電力・福島第一原子力発電所におけるALPS処理水の海洋放出。
これまで福島第一原発では、ALPS(多核種除去設備)でトリチウム(三重水素)以外の放射性物質を安全基準を下回るまで浄化し、施設内のタンクに保存してきた。
■検査ではトリチウム検出されず
今回の海洋放出では、ALPSで除去できないトリチウムについても国の基準を大幅に下回る濃度まで海水で希釈。その上で、沖合までパイプを引いて排出されている。
水産庁は、26日、海洋放出が始まってから初めて、周辺海域の魚類の調査を実施。トリチウムが検出されなかったことを発表した。
しかし、中国や北朝鮮はこの措置に激しく反発。とくに中国は、日本産水産物の禁輸を発表し、国内でも反日運動が拡がっている。こうした抗議について、日本国内ではどのように受け止めているのだろうか。
■4割強が「抗議は理不尽」
Sirabee編集部が、8月27〜29日にかけて、全国10〜60代男女1,000名を対象に「処理水排出への抗議」について調査したところ、最も多かった答えは「抗議は理不尽」で45.0%。
「抗議も理解できる」が31.4%で続き、「何も思わない」が23.6%だった。国内でも処理水排出には反対意見があり、意見が割れるのも納得だ。
■世代差も顕著に
ただ、今回の調査結果は世代によって全く異なる傾向が見られた。10〜20代では、「抗議も理解できる」が最も多く34.8%。「抗議は理不尽」を上回っている。
政府や東京電力を管轄する経済産業省は、これまでも丁寧な説明を続けてきたが、若い世代には届いていないようだ。中国などの抗議が理不尽と感じる人は年代が上がるほど増加し、60代では61.5%に及んでいる。
■執筆者プロフィール
タカハシマコト:ニュースサイトSirabee編集主幹/クリエイティブディレクター
1975年東京生まれ。1997年一橋大学社会学部を卒業。2014年NEWSYを設立し、代表取締役に就任。東京コピーライターズクラブ(TCC)会員。カンヌライオンズシルバー、TCC審査委員長賞、ACCシルバーなどの広告賞を受賞。
著書に、『ツッコミュニケーション』(アスキー新書)『その日本語、お粗末ですよ』(宝島社)
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(文/Sirabee 編集部・タカハシマコト)
対象:全国10代~60代男女1,000名(有効回答数)