「7年連続利用者0人」の無人駅、今も現役なのはなぜ… エモすぎる理由があった
北海道に佇む雄信内駅は、1日の利用者数が0人。今も存続するのには、理由があって…。
通勤時、満員電車にうんざりする人も多いだろう。地域によって違いはあれど、駅に行けば少なからず利用する人がいる。
だが、北海道には、1日の利用者数が0人にも関わらず、現役の「秘境駅」があって…。
【合わせて読みたい】小田急線の”マイナー駅”南新宿駅で降りてみた 現地で気づいた「新発見」とは…
■7年連続利用者数0人の駅が…
件の駅は、北海道天塩郡幌延町(ほろのべちょう)にある「雄信内(おのっぷない)駅」だ。1925年に開業し、旭川駅から稚内駅を結ぶ宗谷本線の駅の一つ。
緑に囲まれた無人駅で、年季の入った木製の看板に駅名が印字されているのが特徴的。以前は利用者がいたが、JR調査によれば2016年以降、1日の乗車人員は0人。
7年連続利用者ゼロということになる。
■一度は廃止も検討されたが…
2019年には、利用者の減少から、JR北海道が雄信内駅を含む29駅の廃止を検討した。この動きに対して、幌延町が立ち上がる。
21年度からふるさと納税等を原資とし、同町が維持管理費用を負担することで存続することになったのだ。なくなりそうな駅に救いの手を差し伸べるとは、ドラマのような展開である…。
なぜ、「秘境駅」を存続させたのか。幌延町に取材したところ、「様々な裏側」が明らかになったのだ。
■存続に踏み切った舞台裏
幌延町の担当者によれば、雄信内駅の利用者が減った背景は地域の過疎化が考えられるとのこと。その上で、存続に踏み切った理由を聞いた。
担当者は「当町では、2014年(平成26年)度から『秘境駅』をはじめとする鉄道系資産をまちおこしの資源として活用できないか検討し、翌年10月に策定した『幌延町まち・ひと・しごと創生総合戦略』において『鉄道系資産を新たな観光資源として位置付け、関連イベントの開催等により、観光振興、交流人口の増加を図る』ことと定めております。これに基づいて、秘境駅を活用したまちおこし事業を進めています」と、振り返る。
この駅には、町おこしするだけの魅力があったようだ。担当者からは、「雄信内駅は、宗谷本線の歴史を伝える国鉄型木造駅舎の希少性と秘境駅観光推進に資するという観点から存続を決定しました」という回答も寄せられている。
大正・昭和・平成・令和と4つの時代を見守ってきた雄信内駅は、宗谷本線の歴史を語る上でなくてはならない存在なのだろう。
■「毎年多くの人が来る」
幌延町は「秘境駅フェスタ」と称し、レトロなバスで雄信内駅を訪れ、写真撮影するイベントを開催している。近年、山奥や原野など人里離れた場所に位置する「秘境駅」を訪問するファンも多い。
雄信内駅も、ネットを通じて多くの人に認知されているようだ。担当者は、「正確な人数をカウントしているわけではありませんが、毎年多くの方にお越しいただいていると認識しています」と、笑顔を見せる。駅を利用する人はいなくても、町を盛り上げるのに一役買っていることが分かる。
これからも、歴史ある雄信内駅は、たくさんの人に愛され続けることだろう。
■執筆者プロフィール
斎藤聡人:1991年生まれ。『Sirabee』編集部記者。
某週刊誌の芸能記者を経て現職に。ジャニーズネタなど、芸能ニュースを中心に取材。飲食店をめぐり、グルメ記事も手がける。
仕事も兼ねた毎日のドラマ鑑賞が日課。今期の推しは、『真夏のシンデレラ』(フジテレビ系)と『ばらかもん』(同系)。『最高の教師 1年後、私は生徒に■された』(日本テレビ系)の行方も気になる毎日。
・合わせて読みたい→なぜこんな場所に…? 山形県の老舗旅館が作った「秘境すぎる究極の貸別荘」がスゴい
(取材・文/Sirabee 編集部・斎藤聡人)