日本人の2割、着払い・代引きを「同じ」と誤解していた 40年前のエピソードに思わず納得
2割の人が「着払い」と「代引き」を同一のものと誤認していることが判明。それぞれの特徴・違いをヤマト運輸に聞いてみると…。
令和の現代において、ネット通販はなくてはならない存在のひとつ。日々の買い物の大半を「通販で済ませている」という人は、決して少なくないだろう。
しかし今回、こちらの「通販に関する常識」を、決して少なくない人が誤解していると判明したのだ。
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■2割の人が「着払いと代引きは同じ」と認識
ある日、X(旧・ツイッター)を眺めていた記者は、「着払い」と「代金引換」(代引き)を混同していると思われる人物のポストを複数目撃する。
そこで試しに、全国の10〜60代の男女855名を対象としたアンケート調査を実施したところ、全体の21.9%が「着払いと代引きは同じ意味だと思う」と回答したことが判明したのだ。
年代別の回答を見ると、混同している年代は10〜20代が最も多く、以降の年代のいずれも2割前後が混同している模様。そこで今回は、クロネコのマークでお馴染みの「ヤマト運輸株式会社」に詳しい話を聞いてみることに。
その結果、同社における着払い・代引きそれぞれの「意外な導入秘話」が明らかになったのだ…。
■「着払い」にはバブルが関係?
まずは基本中の基本、着払いと代引きの「支払い内容」について確認してみる。
こちらの質問に対し、ヤマト運輸からは「着払いとは、運賃(送料)をお荷物の受け取り時に受取人さまが支払う方法です」「代金引換は、お荷物の商品代金+運賃(送料)+代引き手数料を、お荷物の受け取り時に受取人さまが支払う方法です」との回答が得られたのだ。
今回のアンケートではあくまで「同じものか」を質問しただけなので、「受取人が商品代金+運賃(送料)+代引き手数料を支払う方法は『着払い』だと思う?」という質問を設けた場合、より多くの人が誤答していたような気もする…。
似ているようで全く異なる2つの支払い方法、ヤマト運輸はどのような背景から導入したのだろうか。
こちらの疑問について、ヤマト運輸担当者からは「もともと『宅急便』のお支払いは発払いを原則としてきましたが、スキー場やゴルフ場から自宅に用具を送り返す際に『着払いにしたい』という要望が数多く寄せられたため、1985年(昭和60年)1月から『スキー宅急便』と『ゴルフ宅急便』に限定して着払いを開始しました」との回答が。
スキーもゴルフもバブル期に大きな人気を博したスポーツであり、時期も80年代真っ只中という点から「バブルが着払いを後押しした」という見方もできないだろうか。
ヤマト運輸担当者は「こちらが好評だったため、同年10月から全ての『宅急便』で利用できるようにしました。その後、着払いの利用は旅行手荷物のお届けなど個人のお客さまのニーズだけではなく、不用品の交換・商品の返品など法人のお客さまにも拡大していきました」とも補足している。
■着払い導入の1年後には…
続いては「代引き」導入の経緯について尋ねてみる。
ヤマト運輸担当者は「当社では『宅急便』発売前から都内の百貨店の商品配達時に代金引換を行なっており、当時は回収した代金をそのまま封筒に入れて保管し、百貨店に入金していました」「こうしたノウハウを持っていたので代金回収業務に進出することを決め、『宅急便』発売後の1986年(昭和61年)7月に『ヤマトコレクトサービス株式会社』を設立し、同年11月から『宅急便』のお支払い方法として『コレクトサービス』(代金引換サービス)の提供を開始しました」と説明しており、着払いの方が「1年先輩」であると判明したのだ。
その後、2000年代のインターネット普及に伴い、カード払いなど決済サービスが多様化したことから、05年にはサービス名称を「コレクトサービス」から「宅急便コレクト」に変更することに。
同サービスの歩みについて、担当者は「こうした決済サービスはお客さまにとって非常に利便性が高く、特にECの展開と共に普及していきました」と振り返っている。
なお、一定数のユーザーが着払いと代引きを混同している件に関しては、「お支払い方法の違いについて認知されていない部分については、引き続きホームページなどで分かりやすいご案内を心掛けてまいります」とのコメントが得られた。あやふやに記憶している人は、これを機に違いをしっかり覚えておこう。
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■執筆者プロフィール
秋山はじめ:1989年生まれ。『Sirabee』編集部取材担当サブデスク。
新卒入社した三菱電機グループのIT企業で営業職を経験の後、ブラックすぎる編集プロダクションに入社。生と死の狭間で唯一無二のライティングスキルを会得し、退職後は未払い残業代に利息を乗せて回収に成功。以降はSirabee編集部にて、その企画力・機動力を活かして邁進中。
X(旧・ツイッター)を中心にSNSでバズった投稿に関する深掘り取材記事を、年間400件以上担当。ドン・キホーテ、ハードオフに対する造詣が深く、地元・埼玉(浦和)や、蒲田などのローカルネタにも精通。
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(取材・文/Sirabee 編集部・秋山 はじめ)
対象:全国10代~60代男女855名 (有効回答数)