肩甲難産の赤ちゃんが経膣分娩時に骨折し死亡 両親が「医療ミス」で病院を提訴
病院から「難産による死産」と告げられた両親。しかし葬儀業者が、赤ちゃんの遺体の頭蓋骨や首の骨が折れていることを指摘した。頭部と首を力ずくで引っ張ったことが疑われるという。
9日、アメリカのある夫婦が医療ミスに関する裁判を起こした。大型の病院でお産に臨んだが、難産の末に赤ちゃんは死亡。しかし、遺体を扱った葬儀業者が「医療ミスが疑われる」と指摘したという。
『NBC News』『CBS News』などが続々と伝えている。
■産科医師と病院を提訴
トレベオン・アイザイア・テイラーさん(21)とジェシカ・ロスさん(20)夫妻が赤ちゃんを亡くし、ジョージア州リバーデイルのサザン・リージョナル・メディカル・センターおよび産科のトレイシー・セント・ジュリアン医師を訴えた。
夫妻はこのたび2人の弁護士を伴って、記者会見を開いた。そこで7月9日に男の子が分娩中の事故で死亡したこと、そして医師・病院の重過失と隠蔽行為により、ひどい精神的苦痛を味わったことを説明した。
■肩甲難産だった赤ちゃん
赤ちゃんは、頭は出てきても肩が恥骨結合につかえてしまう「肩甲難産」だった。これは、経膣分娩において数百件に1件の割合で発生するという。
そうした場合、会陰切開、恥骨上縁圧迫法、さらに帝王切開での分娩に切り替えられることが多いが、セント・ジュリアン医師は赤ちゃんの頭と首に力を加え、娩出を図った。
それも不可能だとして帝王切開に切り替えたが、すでに3時間が経過しており、胎児の心拍すらモニタリングできない状態だったこともわかった。
■葬儀業者が首の骨折を指摘
医師の資格を持つロデリック・エドモンド弁護士は記者会見のなかで、「赤ちゃんの遺体を扱った葬儀業者が、頭蓋骨と首の骨が折れていることを指摘した。頭部と首を力づくで引っ張ったのだろうが、医師らはそうした事実を隠蔽しようとした」と述べた。
その可能性が高いと糾弾したが、病院側は「すべての患者に質の高い思いやりのある医療ケアを提供することを使命としており、このたびの悲劇には胸が張り裂けそうです」と述べている。
■産婦は「帝王切開を」と希望
ロスさんは早い段階で「帝王切開を」と希望したが、セント・ジュリアン医師がそれを拒否していたこともわかってきた。
また夫妻は「難産による死産」と言われた我が子の遺体について司法解剖を希望したが、それを病院の職員が止めていた。病院も一丸となって、まずい真実を隠蔽しようとした可能性があるという。
アメリカの黒人における妊産婦死亡率、乳児死亡率は高い。このたびの悲劇もそうした医療的差別の一例だとして、波紋が広がっている。
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(文/Sirabee 編集部・浅野 ナオミ)