超ブラック化が改善されない霞が関官僚、進む公務員離れに「週休3日制」導入案も…
【舛添要一『国際政治の表と裏』】キャリア官僚の志望者が激減。国会が始まれば朝5時から打ち合わせ、深夜まで残業というブラックな環境…大臣経験者の筆者が内情を解説する。
■大臣レク
国会開催中、大臣として答弁する日には、早朝に国会に行って、役人から「大臣レク(レクチャー)」を受ける。答弁の準備である。委員会や本会議開催前に、記者会見などもあるので、朝8時までには終わらせなければならない。質問の量が多いと、数時間かかるので、朝5時前からスタートということになる。
私は、このレクを短時間に済ませるので7時から始めた。そのため、官僚からは感謝されたものである。ときには、質問通告していない質問をする議員もいる。急に答えろと言っても無理であり、大臣席の後ろに控えている秘書官たちが右往左往することになる。その状況は、テレビ中継でよく見る通りである。
■個人の生活、家庭生活も破壊
以上のような国会に付き合っている官僚は、連日、午前様で、健康を維持するだけで精一杯となる。家庭生活などもない。普通のサラリーマンにはありえない生活である。
しかも、国会議員の質は劣化するばかりである。役人が命がけで仕事をしても、最後に決めるのは政治家である。しかも、安倍長期政権の間に首相官邸に権力が集中し、首相や官房長官にゴマをする役人のみが出世するようになってしまった。
これでは、国家国民のために尽くそうと、青雲の志を抱いてキャリア官僚になったのに、やる気もなくなってしまう。官僚の週休3日制よりも、質の悪い国会議員を追放するほうが先である。そのような議員を選挙で選んだのは有権者であることを忘れてはならない。実は、国民の責任なのである。
■執筆者プロフィール
Sirabeeでは、風雲急を告げる国際政治や紛争などのリアルや展望について、元厚生労働大臣・前東京都知事で政治学者の舛添要一(ますぞえよういち)さんが解説する連載コラム【国際政治の表と裏】を毎週公開しています。
今週は、「キャリア官僚」をテーマにお届けしました。
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(文/舛添要一)