読書感想文に描かれた謎のシンボルマーク、その正体は… 「50年前の誕生秘話」に驚き
夏休みの宿題の一つ、読書感想文。課題図書に描かれた特徴的なマークの正体とは…。
8月に入って約2週間経った。夏休みも折り返しとなり、山積みの学校の宿題に頭を悩ませる子供も多いことだろう。
ネット上では、夏休みの宿題の一つ、読書感想文の特徴的なマークが注目を集めていて…。
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■読書感想文の特徴的なマーク
今年で68回目となる「青少年読書感想文全国コンクール」。ネットで注目されているのは、課題図書に貼り付けるシールや帯にデザインされているシンボールマークだ。
山羊か羊か判別できない未知の生物が、2本の棒のようなものを持っている。一度見ると、不思議と印象に残るマークだが、記者の学生時代を思い返してみても、このマークの由来を教えられた記憶はない。
疑問に思ったものの、山積みの宿題を片付けることに意識を奪われ、知らないまま大人になってしまった…。
■ネット上でも疑問の声が
記者同様、この謎の生物を知らない人は多いようだ。ネット上では、「子供の頃は怖いモンスターが鼻の中に棒を突っ込んでると思った」「ハーメルンの笛吹き男じゃないのか」「本当はなんなんだ? モンスターにしか見えない」など、様々な予測が飛び交っている。
また、「子供の頃、この強烈な生き物に違和感覚えなかった自分が気持ち悪い」「全然気に止めてなかったのになんでいまこんな気になるんだ」「小学生の頃は不思議と受け入れてた自分」といった、大人になって疑問を抱く人の声も。
■「50年前の裏話」に驚き
長らく、読書感想文の象徴となっていた生物の正体を解明すべく、コンクールを主催する団体の一つ「公益社団法人 全国学校図書館協議会」に話を聞いた。同団体の担当者によると、このシンボルマークは第15回コンクール(1969年度)を記念して作られたという。
50年以上前からあったとは驚きである…。この生物の由来を尋ねると、担当者からは「ギリシャ神話に出てくる『牧羊神』(Pan)です。牧羊神とは、2本の角を生やし、山羊の脚をして、長いアゴヒゲをつけたギリシャ神話の神です。陽気な神であり、知恵者でもあり、よく予言も発したと言われています」という回答が。
大変失礼ながら、頭の片隅でモンスターではないかと思ってしまったが、立派な神だった。「知恵者」の神が抜擢されたのは、「本を読んで知識を増やしてほしい」という狙いもあったのだろうか…。
■2本の棒の正体は…
特徴的な2本の棒は、葦(あし)の葉を丸く巻いて作った葦笛だという。「牧人の好む葦笛で、この神が創ったものでもあります。自らも好んで吹奏しました」(前出・担当者)。
棒を鼻に刺しているのではなく、2本の笛で演奏していると考えるのが自然であろう。ちなみに、牧羊神を抜擢した理由に関して、担当者は「青少年のおおどかな読書をたたえ、この像をシンボルマークとしました」と話している。
「おおどか」とは、せこせこせず、おっとりしたさま、おおらかであるという意味だ。記者も心当たりがあるが、夏休みの宿題は日が経つにつれて、「あれもしなきゃ、これもしないと…」と慌てがち。
だが、読書感想文に取り組む際は(もちろん他の宿題も)、自分が興味を持った本を時間を気にせずゆっくり読み、そこから感じた偽りのない思いを気取らずに書いてほしい。
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(取材・文/Sirabee 編集部・斎藤聡人)