猛暑でも「水がぶ飲み」は危険 電解質バランスが崩れ10歳児が緊急入院
短時間に水だけ大量に摂取した少年は、体内の血液が希釈され低ナトリウム血症に陥った。やがてけいれんが起き、腕も脚も動かせなくなったという。
子供たちは普段から汗っかきだが、この季節は汗だくになる。そのため、スポーツドリンクを常備している家庭は多いだろう。
しかし、「水だけ」を与え続けることの危険性を教える1つの症例が、アメリカで話題になっている。サウスカロライナ州の『WIS-TV』『KCRA-TV』などが伝えている。
■1時間の間にペットボトル6本の水
サウスカロライナ州に暮らすレイ・ジョーダンくん(10)とその両親が、真夏に起きやすい子供の危険な体調不良について、自らの体験を紹介した。
ある週末、同州コロンビア市に暮らす親類の家を訪ねた一家。いとこたちと遊び回って大量の汗をかいたレイくんは、午後8時半から約1時間の間に、ペットボトルの水を6本続けざまに飲んだという。
■けいれんを起こし嘔吐
そして午後10時半ごろ、レイくんは突然けいれんを起こし嘔吐。両親はあわてて、プリズマ・ヘルス小児病院の救急センターに連れて行った。
父親のジェフ・ジョーダンさんは「レイは意識障害も起こしており、誤ってお酒や麻薬を摂取してしまったかのようにも見えました」と語っている。
さまざまな検査が行われた結果、医師は「これは水中毒。血中ナトリウム濃度がひどく低下しています」と説明した。
■スポーツドリンクは大切
午前4時から正午まで約8時間をかけ、少しずつナトリウムとカリウムを投与したことで、レイくんの血中電解質のバランスは徐々に正常化していった。
医師は母親のステイシーさんに「スポーツドリンクの塩分は、電解質のバランスを維持する働きがある。汗をかいたら水と交互に飲ませてあげて」と指導したという。なお、含まれているブドウ糖にも水分の吸収率を上げる働きがあるそうだ。
■生命の危険すらある水中毒
午後1時半ごろにレイくんは目を覚まし、「お腹が空いた。僕、今どこにいるの?」と尋ねた。退院後、特に後遺症などが現れていないことに両親もほっとしているという。
水だけを短時間に大量に摂取すると、体内の血液が希釈されて低ナトリウム血症に陥り、頭痛、嘔吐、失禁、意識混濁などを起こすことがある。レイくんは腕も脚も自力ではまったく動かせず、危険な状態だったそうだ。
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(文/Sirabee 編集部・浅野 ナオミ)