海水浴場の「糞便性大腸菌」含有率高まる コロナ後の利用者増と温暖化で加速が懸念
糞便性大腸菌などに汚染された海、湖、川などで1日泳いでいると、胃腸、副鼻腔や呼吸器の疾患、耳や目の感染症、発疹などが現れる人も…。
猛暑日が続くこの夏、海や川、湖に出かけるという人も多いだろう。だが、ちょっと心配な糞便性大腸菌の話題をアメリカの『NBC News』『PEOPLE』『NEW YORK POST』ほかが報じている。
■汚染の理由はいろいろ
アメリカ合衆国環境保護庁(EPA)は、海水や湖水に含まれるバクテリアなどの病原菌の量を「Beach Action Value」の基準値と照らし合わせ、海水の安全度を見極めてきた。
昨年、検査はNPO法人「Environment America」により、全米の3,192の海水浴場で実施された。なお、汚染の理由は都市部からの生活排水、溢れた下水、畜産農家などからの排水の流入だという。
■地域差も大きい汚染度
その調査によると、55%にあたる1,761の海岸で調査期間中、最低でも1日は糞便性大腸菌による健康被害が「潜在的に危険なレベル」であることが判明。
なかでもルイジアナ、テキサス、フロリダ州が面しているメキシコ湾岸では、84パーセントの海水浴場がこれに該当。西海岸の70パーセント、五大湖の63パーセント、東海岸の48パーセント、アラスカ州とハワイ州の24パーセントがそれに続いた。
■川や湖も安全とは言い切れない
また、363の海岸では検査期間の25%以上の日数が「潜在的に危険なレベル」だった。こうした水で泳いでいて、胃腸、副鼻腔や呼吸器の疾患、耳や目の感染症、発疹などが現れたという人の数は、アメリカでは毎年約9,000万件にも上るという。
特に恐ろしいのは、川や湖にいる「人食いバクテリア」や「脳食いアメーバ」により、壊死性筋膜炎や原発性アメーバ性髄膜脳炎で数日もなく死亡すること。温暖化で患者数は年々増えているもようだ。
■日本でも調査が行われている
日本の海水浴場でも、同様の調査は行われていた。2022年の海水1ooミリリットル中に含まれる糞便性大腸菌群の数ワースト10は、 1位が九十九里浜のほぼ中央に位置する千葉県横芝光町の「屋形」で、その数は370個だという。
そして2位は奈良県五條市の「きすみ広場」で330個、3位は千葉県鴨川市の「内浦」の270個だった。ワースト10のうち6ヶ所が千葉県の海水浴場だそうだ。
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(文/Sirabee 編集部・浅野 ナオミ)