脅かされるプーチンの身 プリゴジンの乱はその序章に過ぎない
ロシアの民間軍事会社ワグネルが突如方向転換してモスクワへ進軍。プーチンのXデーは遠くないとの見方も。今後国内からいっそう反プーチンの流れか。
これまでウクライナ戦争においてロシア側の最前線で戦ってきたロシアの民間軍事会社ワグネルが先月末、突如方向転換し、ロシアの首都モスクワへ向けて進軍を開始した。
■7月1日でプリゴジンの乱から1週間
その後、ワグネルを部隊はロシア軍の戦闘機を撃ち落とし、パイロット10人あまりが死亡するなどして北上し、モスクワまで200キロのところまだ迫った。しかし、プリゴジン氏は突如進軍を停止すると発表し、その後はベラルーシに移動したとされるが、その後の詳しい消息は分かっていない。
プリゴジン氏はプーチン政権を崩壊させる意図はないと声明で発表しているが、ジョイグ国防相がゲラシモフ参謀総長など国防幹部らへは以前から強い不満を持っており、弾薬が足りないからなんとかしろ! とネット上で怒鳴るなど、両者を無理やり退陣させる意図はあったように感じられる。
■プリゴジンの乱は序章に過ぎない
結局のところ、クーデターは未遂で終わったわけだがそれ自身は大きな問題ではない。最大のポイントはロシア国内から準軍事組織がプーチンに抵抗の姿を見せたことである。
当然ながら、ウクライナ戦争を実際支持しているロシア人は多くなく、ロシア南部の少数民族地域からは意図的に多くの住民がウクライナの戦場に駆り立てられ、プーチン大統領への不満は強まるばかりだ。
この地域では長年分離独立を目指すイスラム過激派がテロという形でプーチン政権に抵抗してきたが、今回のプリゴジンの乱が1つのきっかけとなり、国内で積もりに積もる反プーチンの行動がいっそう表面化してくる可能性があろう。
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(取材・文/Sirabee 編集部・セレソン 田中)