16歳少女が交通事故に遭った親友の命を救う 「前日に心肺蘇生法を学んだ」
子供たちにも、心肺蘇生法やハイムリック法の指導が求められている。友人や家族に危機的な状況が発生した際、それに気づいて救命活動を行えるようにしておくことは大切だ。
あなたのお住まいの地域の教育委員会は、「命の授業」などと題し、学校で心肺蘇生法などを学ぶ機会を設けてくれているだろうか。これから夏本番を迎えるが、思わぬ状況に直面することもあるだろう。アメリカには、それを知っていたために大切な友人の命を救った少女がいた。『98.7the SPOT』『CNN』などが報じている。
■衝突事故で窓に頭を強打
フロリダ州在住のトリエル・ノーウッドさん(16)とアザリア・シモンズさん(16)は、中学校からずっと親友同士だったという。そんなふたりは2月20日、自動車事故に巻き込まれた。
『CNN』の取材に、トリエルさんは「高校の授業で心肺蘇生法を学んだわずか1日後、私たちが乗っている車が衝突事故に巻き込まれました」「後部座席にいたアザリアは、窓に頭を強打して意識を失い、呼吸も脈拍も確認できなくなってしまったんです」と語っている。
■心肺蘇生法のおかげで意識が戻る
ただちに救急車を呼んだトリエルさんは、隊員たちが到着する前にアザリアさんの胸部を圧迫すること30回、そして人工呼吸を2回行ったところで、意識が戻ってきた。その後、アザリアさんは搬送先の病院で適切な治療を受け、無事退院できたという。
いずれは、健康科学の専門的な勉強をしたいと考えているトリエルさん。アザリアさんはCNNに「彼女は命の恩人。あの場にいてくれなかったら、私はここにはいないでしょう」と話した。
■措置開始の早さが予後を左右
窒息、心肺停止の状況は体内の酸素を欠乏させ、死に直結する。仮に呼吸が再開しても、それが遅ければ重い後遺症が残ることも多い。
だからこそ、救急車を待つ数分間が重要になる。放置されているのか、それとも周囲の人が何らかの救命措置を行ってくれるのかで、予後が大きく左右されるのだ。
■指導する学校は増えている
また、食べ物をのどに詰まらせた時に、強制的に吐き出させる「ハイムリック」という救命方法がある。詰まらせた人の背後に立って両方の腕を腹部に回し、左右の手を重ねて大きなこぶしを作ってから、抱き上げるようにしてみぞおちの下を圧迫する。
体育の授業や給食の時間などに、級友に予測もしなかった危機的な状況が発生した際、ただちに救命活動を行えるように、今は小学校でも心肺蘇生法やハイムリック法を学ばせるところがあるという。
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(文/Sirabee 編集部・浅野 ナオミ)