『スラムダンク』、三井寿のルーツになった酒造 「あの人気キャラ」とも縁があった…

『スラムダンク』三井寿のルーツである「三井の寿」はファンの間で有名だ。知られざるエピソードはまだあって…。

スラムダンク

ある時はバスケ部を潰しに訪れ、ある時は連続3点シュートを決めてチームのピンチを救い、またある時は「なぜオレはあんなムダな時間を…」と涙を流す──。

SLAM DUNK(スラムダンク)』の三井寿は、作中でも絶大な人気を誇るキャラクターだ。そんな彼の名前の由来は福岡の日本酒であることはご存知の人も少なくないだろう。だが、さらに取材を進めると、「驚きの事実」が明らかになって…。

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■興行収入100億超えの大ヒット

『スラムダンク』は1990年代に人気を博した、バスケットボールを題材にしたスポーツ漫画。主人公の不良少年・桜木花道が神奈川県の湘北高校バスケ部に入部し、チームメイトやライバル達と切磋琢磨しながら成長していく物語。

昨年12月には、映画『THE FIRST SLAM DUNK』が公開され、興行収入は132億円を超える大ヒット作となった。今年4月から中国でも公開され、約2週間で興行収入が6億元(約120億円)を記録。

改めて、『スラダン』人気の高さが実感できる。

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■三井寿の由来になった日本酒が大人気に

映画が爆発的にヒットする中、『スラダン』の人気キャラクター・三井寿と縁の深い日本酒にも注目が集まった。福岡県にある1922年創業の老舗酒造会社「みいの寿」から販売されている日本酒『三井(みい)の寿(ことぶき)』だ。

みいの寿

今年2月に情報番組『ZIP!』(日本テレビ系)で、原作者である井上雄彦氏がこのお酒をオマージュして三井の名前を付けたことが紹介され、ネット上でも大きな話題になったので、ご存知のファンも多いことだろう。

昨年の映画公開以降、日本酒の売れ行きは上がっているという。みいの寿で代表取締役を務める井上宰継氏は、「公開当初はまだ知る人ぞ知る程度だったのですが、『ZIP!』で紹介された後、『みいの寿』がツイッターでトレンド入りし、そこから注文が殺到しました。4月に中国で公開されてからは、中国の方からも多数ご注文いただいています」と、嬉しい悲鳴をあげる。


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■湘北仕様のデザインが生まれた裏側

みいの寿

「純米吟醸大辛口 三井の寿+14」は、赤色のラベルに黒文字で三井の背番号「14」が印字され、湘北高校のユニフォームを彷彿とさせるデザインだ。いつから、このデザインを採用しているのか。

余談だが、記者は『スラダン』の原作を暗唱するまで読み尽くした“ガチ勢”で、三井を一推ししている。僭越ながら、そんな「三井ファン」を代表して聞いてみた。

「2013年5月22日からこのデザインの商品を販売しています。私は小学生の頃から今も欠かさず『週刊少年ジャンプ』を読むくらい大好きで、『スラダン』も連載当時読んでいました。特に、三井が大好きなので、彼の誕生日に発売したんですよ(笑)」(前出・井上氏)。何とも「三井愛」の感じられるエピソードである。

三井の名前の由来は、この日本酒が由来になったとのことだが、いつそのことを知ったのか。「15年ほど前に出たある本で、井上先生が当社の商品から三井の名前を取ったことを公言されたんです。それを知って、湘北仕様のデザインにしました」(前出・井上氏)。

連載終了後に原作者の口から明かされたことで、件の日本酒が三井のルーツであることが、「公式」認定されたのだ。


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■「あの人気キャラ」との接点

推しのキャラの裏側が分かり、大満足で取材を終えようとしたところ、前出の井上氏から「三井に限らず、『スラダン』のキャラは福岡と何らかの関係がありそうです」と驚きのワードが飛び出した。

これは詳しく聞かねばならない。「連載当時、福岡の人間の間で、登場人物の名前が話題になりました。桜木と同じ中学出身で、『桜木軍団』の野間忠一郎、大楠雄二、高宮望がいますが、すべて福岡の南区という地区に実在する地名です。『井上先生は福岡の地名から取っているのでは?』という噂も流れました」(前出・井上氏)。

みいの寿は福岡県三井郡にあるが、すぐ近くには「あの人気キャラ」を彷彿とさせるものが…。

「『流川』という交差点があるんです。読み方は『ながれかわ』ですが、流川楓もここから取ったのではないかと噂になりました」(前出・井上氏)。

流川楓

流川は桜木と同じ1年生ながら、インサイドとアウトサイド両方で点を取れる湘北のエース選手。元中学MVPの三井とは湘北の新旧エースのような関係だ。ルーズボールを追いかけてキャッチした三井が流川に決死のパスを出したり、別の試合で終盤にフラフラになった三井を見た相手選手が「奴は(シュートを)打てねえ」と軽視する中でも、流川は「そんなタマじゃねーよな」と言うほど、実力者同士で信頼を寄せるシーンも見受けられる。

そんな2人だけに、三井のルーツとなった場所の近くに「流川」という地名があることに運命を感じざるを得ない。連載から30年経っても、これだけの発見や驚きを与える『スラムダンク』。“漫画かぶれの常識”が通用しない、不思議な力があるのかもしれない。

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(取材・文/Sirabee 編集部・斎藤聡人

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