「自衛隊は訓練でヘビを食べる」は本当? 元レンジャー教官が明かす噂の真実
自衛官の中のごく一部の精鋭だけがサバイバル訓練で食べるヘビ。ネット上では「まずい」との声もあがっているが、本当は…。
自衛官は訓練でヘビを食べる…そんな噂を耳にしたことはないだろうか。その噂の真偽を、元陸上自衛隊幹部の記者が明らかにする。
■食べるのは陸上自衛隊のレンジャー隊員のみ
噂は「半分は本当」。約24万人いる自衛官全員がヘビを食べるわけではなく、陸上自衛隊の中でも特に精鋭とされるレンジャー隊員だけだ。海上自衛隊や航空自衛隊の自衛官は食べる機会がない。
また、陸上自衛隊であってもレンジャー訓練に参加した隊員以外はヘビを食べることはない。
■自衛隊の最難関資格「レンジャー」
レンジャー隊員とは、陸上自衛隊で行われるレンジャー訓練を修了し、自衛隊の資格「レンジャー」を付与された隊員のこと。
レンジャー訓練とは、体力や身体能力により選抜された志願者に対し、約3ヶ月間行なわれる厳しい訓練だ。レンジャー隊員は制服や戦闘服の左胸にレンジャー徽章、いわゆるレンジャーバッジを付けている。
関連記事:飢えや怪我、病気、毒虫や原住民から生き延びろ! 熱帯雨林サバイバルゲーム『Green Hell』プレイレビュー
■生きたヘビを調理する
訓練の中でレンジャー隊員は、生きたヘビの首をナイフで切り落とし、背骨を噛み切って硬い皮を徐々に剥いで内蔵を洗う。その後ぶつ切りにして、串焼きにしたりカレーにしたりして食べる。
私たちの部隊では、ヘビの肉をブツ切りにし、カレー粉と自ら育ててきたニワトリなどを入れた鍋で「特製サバイバルカレー」として食べていた。
■自衛官同士で盛り上がるおいしさ
ヘビを食べる訓練について、ネット掲示板では自衛官と思われるユーザーから「まずい」「吐き出してしまった」との声もあがっているが、私が知る限り「おいしい」という評価しか聞いたことがない。「まずい」と感じた人は、ヘビのビジュアルからくる心因性の感覚によるものだと考えられる。
ヘビは太い小骨が多く、バキバキと砕きながら食べる必要があるものの、見た目に反して鶏のささみのような肉感と味で臭みもない。ヘビを食べた経験がある隊員同士で出会うと、お互いのヘビ食体験について話すことがあり、その際にも「おいしかった」という話で盛り上がることが多い。
以上が「自衛官は訓練でヘビを食べる」という噂の真相。あくまで特定の訓練を受けた一部の隊員が食べるというだけで、全員がヘビを食べるわけではないことを念頭に置いていただきたい。
■執筆者プロフィール
安丸仁史(やすまるひとし):1994年福岡生まれ、福岡育ち。防衛大学校(人文・社会科学専攻)中退後、西南学院大学文学部外国語学科卒業。 2017年陸上自衛隊に幹部候補生として入隊。
職種は普通科で、小銃小隊長や迫撃砲小隊長、通訳などを務める。元レンジャー教官。自称お祭り系インスタグラマー。お祭りとパンクロックをこよなく愛する。
・合わせて読みたい→コンビニで手に入らないお茶、その「正体」に驚き 買える場所に秘密が…
(文/Sirabee 編集部・安丸仁史)