学校給食の牛乳パック、「ストローなし」増加も… 子供達の反応が予想外すぎた
「脱プラスチック」の中、給食の牛乳パックでストローがないタイプが増えていて…。
近年、プラスチックの過剰使用が問題視され、大手飲食店でプラスチックのストローの使用を見直す動きが加速している。そんな中、学校給食の牛乳パックにも変化が起きていて…。
【関連】無印良品、紙ストローに苦しむ人を「第3のストロー」で救出 ネットで絶賛の嵐
画像をもっと見る
■「ストローなし」の牛乳パックとは…
これまで学校給食の牛乳は、付属のストローを使用して飲むことが多かった。だがここ数年、ストローがなく、飲み口を開けて直接飲む学校給食用牛乳パック「スクールポップ」を導入する学校が増えている。
「スクールポップ」は2020年に日本製紙が発表し、21年に高知県の学校で初めて採用された。その後、導入する学校が増え、2022年度は13都府県で採用され、小中学校や特別支援学校に年間計2億本を提供。「新たな牛乳パック」として注目されているのだ。
■「スクールポップ」誕生の裏側
なぜ、ストローなしの牛乳パックを開発したのだろうか。日本製紙に問い合わせると、「脱プラスチックの流れの中で、プラスチック全廃は難しいとしても、プラスチックレスを目指す道を考えました。日本製紙は総合バイオマス企業として、まずストローの紙化という答えを1つ提示しましたが、さらに一歩踏み込んでストローを使わない飲み方を提案しました」(日本製紙広報部)とのことだった。
「脱プラスチック」のため、ストロー自体なくすとは大胆な発想である。日本製紙の公式ホームページを見ると、「スクールポップ」は牛乳パック上部を押して開いて、折り目を付け、両端を持って引っ張ると飲み口ができる仕組み。
やり方もパックに明記されているので、子供でも簡単に開けられる。
■「飲みやすさ」にこだわった作り
従来の牛乳パックに比べて、ストローがない分「飲みやすさ」にこだわったのだろうか。この点について、前出の日本製紙広報部は「家庭用の大型紙パックと異なり、従来の学校給食用牛乳はパック上部の隙間が狭く、指が入らない構造でした。そこで、ワンプッシュでパックに指を入れる隙間を作れるよう、新たな機能を付加しました。また、縦に罫線を一本入れることで、注ぎ口の角度を調整し、内容液のスムーズな注ぎだしが可能になっています。この2点に関して、特許も取得済みです」という回答を寄せている。
記者の小学生時代もそうだったが、学校給食の牛乳パックは直接飲もうと思っても、上手く開けられず、飲む際にこぼれてしまったことがある。「スクールポップ」はこの辺りを重点的に改善したようだ。
■生徒からは意外な反応が…
気になるのは子供達の反応である。「スクールポップ」を飲んだ生徒から好評のようだ。
「乳業メーカーさんを通じ、『ストローで飲むより牛乳の量が見えるので残さず飲むことができた』『ストローで飲むよりおいしい』『最初は開け方にとまどったがすぐ慣れた』などのお声をいただいています。また、最近のお子さんは、海洋プラスチックごみの問題など、『脱プラスチック』意識の高いお子さんも多いようです。未採用の学校でもストローレスを希望されて『先生に提案したいので、スクールポップの容器を貸して欲しい』という声もありました」(前出・日本製紙広報部)。
生徒自ら、「スクールポップ」を提案するとは驚きである。子供達は身の回りで「脱プラスチック化」が進む中、他人事だと思わず、環境問題に関心を示しているのかもしれない。
いつの日か、学校給食で「ストローがない牛乳パック」が当たり前になるかもしれない。
・合わせて読みたい→マクドナルド、紙→プラスチックのストローに変更できる? 検証した結果は…
(取材・文/Sirabee 編集部・斎藤聡人)