狂犬病感染のキツネが6人を咬み町はパニックに 旅先で見かけても接近は禁物
狂犬病という名前に「イヌの病気だ」と思っている人は多いが、土地によってはアライグマ、スカンク、コウモリ、そしてキツネから感染する例もあるそうだ。
ゴールデンウイークを、できるだけ自然の豊かなところで過ごしたいと考える人は多いだろう。だが、野生動物を見かけて興奮し、「一緒に写真を撮りたい」と不用心に近寄るのは危険だ。
海外では、狂犬病に感染していたキツネに咬まれた事例が話題になっているという。『WHAM-TV』『NEWS NATION』などアメリカのメディアが報じた。
■男の子が脚を咬まれ病院に
アメリカ・ニューヨーク州モンロー郡のブライトンという町で、このほどある住宅街に肉食で知られる「アメリカアカギツネ」が現れ、子供を含む少なくとも6人に次々と咬みつく騒動があった。
キツネは女性が投げたレンガが頭に当たったことで動かなくなり、通報で駆け付けた郡公衆衛生局の職員が捕獲後に安楽死させた。しかし、脚を咬まれた8歳の男の子が病院に行ったところ、狂犬病ウイルスが検出されたという。
■感染直後ならワクチン接種が有効
同局の職員は「キツネと接触があった住民はただちに病院で検査を。決して放置しないでください」と訴えた。一方で医療機関にもキツネの狂犬病が発生したことを告げ、「患者からウイルスが検出された場合、すみやかに当局に連絡を」と呼びかけている。
狂犬病に感染すると、通常は1~3ヶ月で発熱、食欲不振、咬傷部位の違和感などを発症。その後、高熱、幻覚、麻痺、さらに水を飲むとき激痛を伴う痙攣症状を起こすようになる。
放置すれば死につながるが、咬まれた直後ならワクチン接種で発症を防ぐことができるそうだ。
■キツネに近づかないで
これから北海道は最高の旅行シーズンとなるが、そこには多くのキツネが生息している。もしもキツネに遭遇しても、「一緒に写真を」などと不用心に近づかない、触らないよう注意が必要だ。
なお、名前が狂犬病というだけに「イヌの病気だ」と思っている人は多いが、北アメリカではアライグマ、スカンク、コウモリ、ヨーロッパではキツネも感染の危険があるとみなすべき動物だそうだ。
■エキノコックスも恐怖
キツネ由来の人獣共通感染症では、エキノコックス症が有名だ。
エキノコックス属条虫の虫卵が付着したキツネやその排泄物に触れる、排泄物が付いた山菜を生で食べる、あるいは沢水や湧き水を飲んだりすることで感染し、ヒトの体内に入った虫卵は肝障害につながる。
恐ろしいことに、エキノコックスに感染しても肝臓の腫大、黄疸、貧血、発熱や腹水貯留などの症状が出るまでには、数年から10数年かかるという。
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(文/Sirabee 編集部・浅野 ナオミ)