日本人の2割超、ボウリングの名前を勘違いしていた うっかり「伸ばす」と別モノに…

みんな大好きボウリングだが、こちらの競技名を日本人の2割以上が誤解していると判明。たった1文字違うだけで「別の意味」に…。

2023/04/25 04:45

ボウリング

世の中には「あれ、どっちだったかな…」とおぼろげに記憶してしまう事象が多々あるが、その正式名称が誕生した「背景」を知ると、思わず納得してしまうもの。賢明なる読者には既知の事実として映ったり、「細かすぎるだろ!」とツッコミを入れたくなるケースもあるかと思うが…決して少なくない人々が「誤って記憶している事象」の正体について探っていきたい。

今回取り上げるのは、老若男女問わず大人気な「あのスポーツ」の正式表記についてである。

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■つい「ー」を使いたくなるが…

まず注目したいのが、全国の10〜60代男女1,000名を対象としたアンケートにおける「ボールを転がして倒したピンの数を競う『競技の名前』はどちら?」という設問に対する回答結果。

ボウリングデータ

全体の76.8%は「ボウリング」と回答し、残る23.2%は「ボーリング」と回答していたことが判明したのだ。

なお、同競技は口頭では「ボーリング」と伸ばして読むのが一般的だが、表記は「ボウリング」が正解。「ボーリング」表記では、地盤調査の方法となってしまう。

ボウリング

しかし「ボールを転がす」競技である点を考慮すると、我々が「ボウリング」と定義しているスポーツには「ボーリング」の名前が相応しいのではないだろうか…?

そこで今回は「ボウリングはなぜボウリングと表記されるのか?」という謎を解明すべく、「全日本ボウリング協会」(JBC)に直撃取材を実施することに。その結果、思わず興奮してしまう「ボウリングの奥深さ」が明らかになったのだ。

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■「ボウリング」にそんなルーツが…

突然の取材を快諾してくれたJBCは、現在我われが親しんでいるボウリングの姿に最も近い「近代スポーツとしてのボウリング」は、19世紀ごろのアメリカで成立したと説明する。

その上で「ボウリングのルーツは、紀元前まで遡ります」「当然、その頃は現代のような競技性のあるものでなく、大理石で作られたピンを立て、離れた箇所から転がりやすい石などをぶつけ、遊びの延長線上で楽しんでいたようです」と、衝撃の事実を語ってくれたのだ。

こちらの遊びは次第に広範囲に広まっていき、ゲームとしての公平性が求められていく。中世ヨーロッパではピンやボールなど道具の均一化が図られ、木を削って丸くしたボールもこの頃に誕生したという。

続いてJBC担当者は「ボウリングの名前の由来には諸説ありますが…」と前置きしつつ、「サクソン語で『丸い球』を意味する『ボーラ』(bolla)と、デンマーク語の『ボーレ』(bolle)が合わさり、球体のものを指し示す名詞『ボウル』(bowl)として定着し、その名前を踏襲して現代に至る…という説があります」と、そのルーツを説明してくれた。

そんなボウリングが日本にやって来たのは、幕末の1861年(文久元年)のこと。当時の長崎に存在した外国人居留地の中にボウリング施設がオープンし、同施設が「日本で初めてのボウリング場」となったのだ。当時の英字新聞でも取り上げられ、その後は横浜、神戸でもボウリング施設が開かれたという。


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■ボウリングは日本人の気質のピッタリ?

ボウリングデータ

今回の調査の回答結果を年代別に見ると、50代の「ボウリング」正答率が83.3%、と、飛び抜けて高いことに気付かされる。次いで高いのは60代の79%。

日本では60年〜70年にかけて大きなボウリングブームが起こっていたため、直撃世代の50、60代は他の世代より正答率が高かったのだと思われる。果たして当時はどれほどの盛り上がりを見せていたのだろうか。

こちらの疑問に対し、JBC担当者は「『過当競争』という表現がぴったりな、本当にもの凄いブームでした」と、その勢いを強調。曰く、現在は全国のボウリング場の数が約600軒ほどであるのに対し、当時は3,000軒を超えており、そのいずれもが連日行列ができるほどの大盛況であったとのこと。

ちなみに70年代は、全国に合計3万以上ものボウリングレーンが存在していたというから、その熱狂ぶりに改めて驚かされてしまう。

ボウリング・第2回東日本選手権大会

多くの人に娯楽として愛されているボウリングだが、その「スポーツ競技としての魅力」には、かなり奥深いものがある。

こちらについて説明するにあたり、JBC担当者は「ボウリングは1回の試合の所要時間がとても長いです」「1ゲームの単位は、通常のボウリング場で遊ぶ際と同様で3ゲームを1セットとし、国内の試合では最低でも4セット(12ゲーム)実施します」と前置き。

続けて「2時間から3時間かかる長丁場の試合にありながら、自分の投球と相手選手の投球が、非常に短い間隔で行なわれます」「その間にはリラックスや次の投球に向けた反省、メンタルの安定などが求められ、オンとオフを素早く切り替える能力が養われるのは、ボウリングならではと思います」と、その魅力について語ってくれたのだ。

ボウリング

また、ボウリングのチーム戦は日本人との相性が非常に良いようで「オリンピックのアジア版」とでも呼ぶべき「アジア競技大会」において、男子日本代表は2連覇を記録している。

じつはボウリングというのは、単に狙った場所にボールを転がす安定性だけでなく、ボールを転がす過程でオイルが剥がれたり、新たに付着したレーンの部位を見極める洞察力が重要となってくるのだ。

こちらの事象について、JBCは「レーンのオイル量は細かく設定されており、たとえばガター付近と内側とで大きく異なります」「オイルの塗り方には複数のパターンが存在し、大会ごとにその形式が発表されます」とも補足している。

すなわち、ゲームを文字通り「円滑」に進めるためには、チームメイトの投球やボールの着地点、ボールの直進や曲がり具合を分析し、レーンが現状どのようなコンディションであるかを想像・把握する能力が求められるのだ。

NHK杯

JBC担当者は「ゲーム後半になるほど、戦略性やチーム内のコミュニケーションが重要となってきます」「日本人の選手は、そうした情報を共有し、その上で対戦相手の裏をかいたり、さらに先を読むのが非常に上手ですね」と、太鼓判を押していた。

趣味でボウリングをするエンジョイ勢も、こうしたポイントに着目してゲームをプレイすると、競技としての新たな魅力や、奥深さに気づけるかもしれない。


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■JBCも思わずニッコリ

アンケート調査にて全体の約8割が正しい「ボウリング」表記を認識していた件について、JBC担当者は非常に感動している様子。

調査結果を受け、「『ボウリング』という書き方を知っている方は、実際にボウリング場などで単語を目にし、ボウリングに慣れ親しんでいるのではと思います。そのため、競技の認知度が高いという結果はとても嬉しいです」「『ボーリング』だと思っていた方も、この機会にぜひ、ボウリング場へ遊びに来て頂けたらと思います」と、笑顔でコメントを寄せてくれたのだ。

また「ストライクのコツは、レーンのガター寄りに立って、レーンに書かれている三角形のマークの、外から2つ目に向かって、握手の手の向きで投げることです。一度試してみてください」と、投球のコツについてもアドバイス。

ボウリング・2022NHK杯(熊凌汰)

さらに「ボウリング選手の間では今、両手で投げる豪快な投法が急激に増えています。ピンが吹き飛ぶようなストライクが爽快です。5月には、国内トップ選手が集結するNHK杯が開催されます。決勝戦はNHKで生中継されますので、ぜひご覧ください」と、現在ボウリングの見どころについても語ってくれたのだ。

ゴールデンウィークの期間中、ボウリングをプレイする機会がある人も多いだろう。その際はぜひ、JBC直伝の「必勝テクニック」を参考にしてほしい。

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(取材・文/Sirabee 編集部・秋山 はじめ

【調査概要】
方法:インターネットリサーチ
調査期間:2023年1月27日~2023年1月30日
対象:全国10代~60代男女1,000名 (有効回答数)

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