男子が恐怖する「托卵女子」と結婚してしまったらどうなるのか? 弁護士に聞いてみた

漫画にもなるほど話題の「托卵女子」と結婚してしまったらどうなる? 民法改正後に起きそうな状況について弁護士に聞いてみた。

2023/04/14 05:30

夫婦・夫婦喧嘩・モラハラ

もうすぐ大型の連休になり、家族や夫婦で出かける場合も多いだろう。しかし、中には妻だけが出かけて夫は自宅でゴロゴロしているという家もある。

そんな時にやや不安に思ってしまうのが、「妻が浮気をしていないか」ということ。最近は「托卵女子」と言われる、夫以外の子を密かに宿して夫に育てさせる女子もマンガになるほど物議を醸しており、気が気じゃない男性もいるはずだ。


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■民法改正で「嫡出推定」が見直される予定

浅井弁護士

さらに、昨年12月16日の民法改正で「嫡出推定」が見直され、離婚後100日間の女性の再婚を禁じてきた規定が廃止されるとともに「離婚後300日以内に生まれた子であっても、母親が再婚した場合は、例外的に“再婚後の夫の子”とみなす」というルールが2024年夏までに施行される予定がある。

DV夫などから女性を守るために必要な法改正ではあるものの、例えば子供が産まれてすぐ離婚しても托卵元の男性の子供にすることが可能で、夫が不要になったら即捨てられるようになるのでは…? といった不安も出てくる。

まだ法改正まで時間はあるものの、不安に感じている男性のために、托卵女子と結婚してしまった場合、法改正後に想定される状況についてレイ法律事務所所属の浅井耀介弁護士に聞いてみた。

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■質問①

「離婚後300日以内に生まれた子であっても、母親が再婚した場合は、例外的に“再婚後の夫の子”とみなす」というルールは、妻側に離婚の原因があった場合も適用されるのでしょうか?


「適用される可能性が高いです。前夫に親権が認められる可能性は低いでしょう。そもそも、調停や審判で親権者が取り決められる場合、9割近くが母親を親権者と定めています。離婚の原因がどちらにあったか、ということと、子の福祉の観点から親権者がどちらがよいか、ということとは直接には関係してこないためです。

今回の民法改正は、無戸籍の子が増えないように離婚後300日以内に生まれた子を現夫の子であると認めやすくするための改正、すなわち子の福祉の観点からの改正です。そのため、例え妻側に離婚原因があったとしても、”再婚後の夫の子”とみなした方が子の福祉に資するのであれば、文言通りに適用される可能性が高いでしょう。」



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■質問②

結婚期間中に妻側の不倫相手との妊娠を前夫が気づかず、慰謝料の支払いなく財産分与をしたうえで離婚、離婚後に現夫と妻が即結婚して出産し、現夫との不貞行為が発覚した場合は財産分与の取り消しや慰謝料の請求はできるのでしょうか?

「生活を送る中で形成した財産の公平な分配という趣旨で設けられたものであり、たとえ有責配偶者であっても財産分与請求権が認められます。したがって、離婚後に妻に不貞行為が発覚した場合であっても、公平に財産が分配されているのであれば、不貞行為の事実のみをもって財産分与のやり直しを求めることは難しいです。他方で、あとから妻の不貞行為が発覚した場合、離婚後であっても慰謝料請求をすることは可能です。」


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■質問③

最近は托卵女子(不倫相手の子を妊娠して夫に育てさせたり、養育費を払わせる女性)をテーマにした漫画や小説などの作品が増えていますが、この民法改正で実際に托卵女子が増える可能性はあると考えられますでしょうか?


「托卵行為の大きな問題点として、民法改正前は、そこまで好きではないがお金のある前夫(=A)との間に子を儲け、その後離婚し、そこから300日以内に子を産み現夫(=B)と再婚することで、子はAの子であると推定され(改正前民法772条)、Aから養育費をもらいながら本当に愛するBと結婚し家族になる、という行為ができたところにあります。

他方で、民法改正後は、上記の場合でも子はBの子と推定されるため、Aには養育費の支払義務が生じません。したがって、民法改正によっても托卵女子は増えない、むしろ托卵行為がしづらくなるのではないでしょうか。

確かに、Bとの間に子を儲け、その後Aと再婚してBとの間の子をAの子として育てる、という托卵行為はできやすくなるのかもしれません。しかし、そもそも離婚から間もない女性と結婚するAからすれば、再婚後すぐに生まれた子が前夫の子かもしれないという疑いをもつことはできるので、その場合には嫡出否認の訴え等親子関係を否定する手段をとることで托卵行為を防ぐことができます。

なお、不倫相手との子を婚姻中の夫に黙って育てさせるという托卵行為については、今回の嫡出推定の改正とはあまり関係してこないので、いずれにしても今回の改正が直接のきっかけとなって托卵女子が劇的に増加する、といった事態にはならないのかなとは思います。」



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■まとめると…

法改正で托卵女子が増えるかと思いきや、浅井先生の見解では托卵行為をしても前夫の子ではなく現夫の子と認められるため、托卵行為自体は減るのではないかという。

嫡出推定に関する民法改正は母親や子供を守るために必要なものとして改正される予定だが、男性にとってもメリットがあるものなのかもしれない。

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(取材・文/Sirabee 編集部・熊田熊男

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