さんぽセル、発売から1年の進化に目を疑う 批判勢を黙らせる「新アイテム」も…
昨年、ネットで賛否の意見が飛び交った「さんぽセル」。発売から1年経っても、小学生の抱える問題に挑戦し続けていて…。
入学式シーズンが到来し、各地の小学校で式が行われている。ピカピカのランドセルを背負い、希望に満ち溢れていることだろう。昨年、そんなランドセルを背負う小学生の負担を軽減する「さんぽセル」が大きな話題となった。
発売から1年経ち、「その後」を取材してみると…。
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■ネット上では一部批判的な声も…
小学生の頃、教科書がギッシリ詰まったランドセルを背負い、その重さに悩まされた経験はあるはず。さんぽセルは、そんな子供達の負担を減らすため、栃木県の小学生と大阪市の会社「悟空のきもちLABO」が共同開発してできたもの。
ランドセルに2本のタイヤ付きスティックを取り付けることで、キャリーバッグのように運べる画期的アイテムだ。昨年4月に発売したところ、ネット上で「自分の頭で考える子供達がすごい」「時代を変えると思う」「きちんと考えて作ってる」など絶賛する声が続出。
しかし、「筋力が低下する」「ランドセルで身体鍛えられるのに」「楽したらだめだろ」といった、“人生の先輩”からの厳しい意見も…。そうした批判的な声に反論する人が出て、テレビでも紹介され、著名人も言及するなど大きな話題になった。
■子供の親からも喜びの声が…
一部厳しい意見も見受けられたが、さんぽセルは大好評だったようだ。小学生と共に同商品を開発した悟空のきもちTHELABOの太田旭さんは、発売から1年経っての反響を振り返る。
「把握している限りですが、販売台数は4,000~5,000台です。クラウドファンディングを実施したので、ご支援いただいた方からの寄贈も含めると、累計出荷数は7,000台くらいだと思います」(太田さん)。
実際に使った人からの感想を尋ねたところ、「子供の親御さんから『軽くなって喜んでいます』といった声を多数いただいています。そういう意見が来ていることを開発した小学生と一緒に喜びましたよ」と声を弾ませる。
ランドセルの負担を軽減してくれる商品に救われた人も多かったことだろう。
■「進化」したアイテムに衝撃
前出の太田さんによると、さんぽセルを導入した小学校もあったという。昨年8月には、さんぽセルから一歩進んだ「さんぽロック」という商品も発売している。
こちらは、学校の机の引き出しに入れる鍵付きのロッカーだ。子供達が宿題に使わない教科書を学校に置いたまま帰る「置き勉」ができるようにするため開発された。
「ランドセルが重い根本の原因を考えると、学校で置き勉できないことにあると思います。ただ、学校側としては、置きっぱなしにした荷物に責任を持てないという事情もあるようです。荷物のいたずらや盗難を防ぐため、学校の机に鍵をかけることをコンセプトにしています」(前出・太田さん)。
さんぽセルはランドセルの負荷を減らすものだが、さんぽロックはそもそもランドセルが重くなる原因をなくそうとする商品なのだ。ここまでパワーアップしたアイテムを前にしては、「批判勢」も黙るしかない…。
■「学校が置き勉を認めてくれた」
さんぽセルの「進化版」といえるこの商品を導入する学校は多いそうだ。「小学校に200台、私立高校に1,500台程、購入が決まりました。クラウドファンディングのご支援者様に説明し、さんぽセルからさんぽロックに変更して寄贈いただいたケースもあります」(前出・太田さん)。
ちなみに、さんぽロックの開発も小学生が主体となっている。前出の太田さんは、「さんぽセルを考案した小学生の一部も関わっています。新しい子供が入ったり、卒業して中学生になった子も加わっていますよ。昨年、さんぽセルが話題になったことで、学校が置き勉を認めてくれたケースもあります」と、裏側を明かしてくれた。
長年、ランドセルの重さは解決されない問題だったといえる。さんぽセル、さんぽロックを開発した小学生達は、難しい問題に真正面からぶつかり、解決策を考え、たくさんの人の心を動かしてきた。
挑戦し続ける彼らを頭ごなしに「楽してる」と決めつけず、温かく見守ってほしい。
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(取材・文/Sirabee 編集部・斎藤聡人)