止まらない中国での邦人拘束 今後さらに拘束ケースが増える理由

3月に入って中国で勤務する駐在員がまた拘束された。米中対立や日中関係の動向から今後この数が増える恐れがある。中国進出の企業は警戒を。

日本と中国の国旗

中国でまた日本人がスパイ行為などを取り締まる国家安全当局に拘束された。


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■日本人男性が帰国直前に拘束

この男性は大手製薬会社アステラス製薬に勤務するベテラン社員で、中国に20年も駐在する言わば現場のエキスパートである。しかし、日本へ帰国する当日に拘束されたと見られるが、2019年9月に中国近代史を専門とする大学教授が拘束された際も、帰国直前だった。

すでに、中国当局は男性がスパイ活動に関わり、中国の刑法と反スパイ法に違反した疑いがあるとして取り調べを行っていることを認めているが、今日でも拘束に繋がる具体的な説明はない。

今回のケースで同様のケースは17人目となるが、過去には懲役6年の刑期を終え帰国するケースなど、釈放より懲役刑が確定して刑務所での生活を呼びなくされるケースが多い。

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■日中関係の冷え込みにより…

中国で懸念されるのは、同国が日本のように三権分立という制度が確立してないことだ。今回のケースでも拘束の理由が明確になっておらず、そこに純粋な法の支配があるとは言い難い。

要は、現地の法律や法解釈に純粋に違反したから拘束されたのであれば仕方ないが、政治的バイアスにより法律が過剰に解釈、援用されている可能性が排除できないのだ。その前提に立てば、台湾情勢や米中対立など日本を取り巻く政治環境が悪化する中、今後日中関係が長期的に冷え込むことになれば、中国にいる日本人が拘束されるケースが増える恐れがある。

習近平政権はそれを見込んでか、昨年末にスパイ行為の定義を拡大し、摘発を主導する国家安全当局の権限や逮捕者への罰則などの強化する反スパイ法の改正案を発表した。それは今年夏にも可決される見込みで、今後はそれによって邦人拘束のドミノ現象が到来する恐れがある。

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(取材・文/セレソン 田中

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