日本一安いパーキング、金額設定が異次元すぎる… 「これ赤字だろ」とネット民困惑
街中で見かけたコインパーキング、その利用料金が「あまりに安すぎる」と話題。一体なぜ、この価格が設定されたのか調べてみると…。
都内で車を運転した経験がある人ならば分かると思うが、東京都内には思わず目を疑ってしまう「高額すぎるコインパーキング」が多数存在する。もちろん一言に「都内」といってもその価格はピンキリだが、以前ツイッター上では「10分間の駐車料金が600円」というパーキングが注目を集めていた。
なお、現在のツイッター上では反対に「日本一安いコインパーキング」が話題となっているのをご存知だろうか…。
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■「安い」ってレベルじゃねぇぞ!
今回注目したいのは、新潟県新潟市に店を構える「清水酒店」が3月に投稿した1件のツイート。
「古町の駐車場の最安値かな」という、新潟の地名が出てくる投稿には、ひと目で分かる「コインパーキング」の看板写真が写っており、基本料金が確認できるのだが…。
なんと、その設定料金は「60分/10円」という、思わず目を疑ってしまうほどの安さ。もはや「古町で最安値」というよりは「日本で最安」、それどころか「世界一安い」と説明するのが適切かもしれない。
■「繁華街でこの金額はスゴい」
こちらの「安すぎるコインパーキング」は多くの人々に衝撃を与えており、件のツイートは投稿からわずか数日で500件以上ものRTを記録。
ツイッターユーザーからは「何だこの値段!?」「3桁目の数字が抜け落ちたのかと思ったら、本当にこの価格なんですね…」「繁華街の中でこの金額設定はスゴい」「何か事情があるんですかね?」「これもう赤字だろ…」などなど、驚きの声が多数寄せられていた。
そこで今回は、話題のコインパーキングを運営する「新潟土地建物販売センター株式会社」に、金額設定の意図について詳しい話を聞いてみることに。その結果、なんとも驚きな「舞台裏」が明らかになったのだ…。
■完全に「逆転の発想」で生まれたのは…
今回話題を呼んだパーキングは、3月1日からオープンとなった「クリエスパーキング 新潟西堀前通8番町」である。
まずは早速、安すぎる料金設定の経緯について尋ねたところ、担当者は「不動産色の強い話となりますが…」と前置き。「こちらのパーキングがある土地は縦に細長く、正直言ってコインパーキングに向いているとは言い難い場所です」と続け、立地条件をバッサリぶった斬る姿勢を見せた。
そうした事情があって「周辺のパーキングに埋もれてしまう」という懸念があったが、同社はここで、まさに「逆転の発想」を発揮させる。どうせ安くするならば中途半端にせず「振り切った安さにしよう」と決意したのだ。
当初は利用料金を「100円」で考えていたものの、確かに安いが「中途半端」なイメージが拭えないため、インパクトを重視して前人未到の「10円」設定に踏み切ったという。
もちろんインパクトは大事だが、それを重視するあまり利益が出なければ、企業としては本末転倒。一連のエピソードを受けて「新人芸人の出オチかよ…」と、ドン引きしてしまった人もいるだろう。
だが、こちらのどう見ても「赤字」なコインパーキングには、同社のさらなるねらいが込められていたのだ。
■周辺の「相場料金」を聞いて驚き
担当者曰く、同社は件のコインパーキングを「広告塔」として活用しているとのこと。つまり、もともと駐車料金による「収益」を見込んでいないのだ。
参考までに、周辺のその他企業のコインパーキング利用料金を尋ねたところ、飲み屋の連なる繁華街ということもあり「60分/400円」ほどの設定が基本だという。
確かにこれが「中途半端に安い」金額設定であれば、他社の反感を買うばかりか、まるで「チキンレース」のように金額を引き下げる泥試合へ発展しそうな印象を受けるが、相場の「40分の1」という価格となると、他の企業も「そもそもの土俵が異なる」と感じることだろう。
なお、件のパーキングは現金のみ「使用不可」となっている点も特徴的で、担当者は「新潟県内に『キャッシュレス』の文化を根付かせたいと考えています」と、今後の展望についても語っていた。
長年、人々の間に根付いた「意識」や「習慣」といったものは、企業らのこうした努力によって、自然とアップデートされていくのかもしれない。