「話し声が迷惑」公園に20枚の注意看板、一体なぜ… 判明した事実に耳を疑う
「話し声が迷惑」「早朝、夜間の利用は控えて」。東京・いずみの里公園には、騒音に注意を呼びかける看板が大量に設置されていて…。
幼少期、公園で友人と遊んだ思い出がある人も多いだろう。ただ、最近はボール遊びが禁止されたり、遊具が撤去される公園が増えており、子供達の憩いの場が失われつつある。
東京都内には、20枚もの禁止事項が掲げられた公園があって…。
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■開放感のある公園だが…
件の公園は、東京練馬区にある「練馬区立いずみの里公園」だ。西武池袋線「大泉学園駅」から徒歩20分ほどの場所にある同公園は、2017年に開園した。
滑り台やベンチがあり、広々として開放感がある。ネット上でも、「いつもキレイで子供を安心して遊ばせられる」「ベンチがあってお弁当も食べられる」「広くて見晴らしも良く開放的」など、絶賛する声が多い。
ただ、「注意書きの看板がたくさんある」「園内禁止事項だらけ、苦情が多いのかな…」「看板多くて驚いた」といった声も散見される。一部のメディアでは、注意・禁止事項が書かれた看板は20枚以上あるとも報じられているのだ。
■実際に公園に行ってみると…
3月初旬、「いずみの里公園」に足を運んだ。周辺は一戸建てが建ち並び、閑静な住宅街の中にある。
少し見渡しただけでも多くの看板が目につく。掲示された内容を確認すると、「紙くずや空きカンは持ち帰りましょう」「公園での花火遊びはやめましょう」など、他の公園でもよく見る注意書きがある。
さらには「話し声が響き、近隣の方々が大変迷惑しています」「夜間や早朝は音が大きく響きます。近隣への迷惑となるような行為はやめてください」など、騒音に注意を呼びかける看板が多数設置されていたのだ。
■近隣住民が語る「騒音問題」
記者が訪れた日は平日の昼間だったこともあってか、非常に静かだった。普段は、この看板にあるような「騒音」が多いのだろうか。
公園の近隣に住む30代女性は、「私はうるさいと感じたことはありません。この辺りは繁華街ではないので、夜中に大声で騒ぐような人もいないと思いますけどね…」と首を傾げる。
近隣に住む70代男性も、「夜たまに子供達の声が聞こえますが、気になるほどではありません。いつも静かですよ」と話す。その他、近隣住民数名に話を聞いたが、公園周辺がうるさいと感じる人はいなかった。
人によって「騒音」と感じる程度は異なるだろう。今回の結果だけで「騒音はない」と断言はできないが、少なくとも住民の誰もが顔をしかめるようなレベルではなさそうだ。
■区役所が明かした「意外な裏側」
「いずみの里公園」にはなぜ、これほど多くの看板が設置されているのか。練馬区役所に話を聞いた。
練馬区土木部道路公園課長の小山和久さんは、「当初から多く設置しているわけではなく、利用状況により周知したい内容を必要な場所に設置しています。寄せられる意見については、1つずつ内容を確認し、近隣の方、利用者の方、それぞれの立場から対策を検討し対応しています」と話す。
看板に掲示されているように、夜間に騒いだり、子供の声がうるさいといった意見は寄せられているか尋ねると、「本公園は、周辺が住宅に接している特性があり、近接している場所からの苦情が多い公園です」(前出・小山さん)とのことだった。
ただ、管理する側も園内では伸び伸び過ごしてほしいという思いもあるようだ。
前出の小山さんから、「公園は、子供達の遊び場や高齢者の散策の場等、誰もが安心して自由に利用することができる区民の生活に欠かせない施設です。一方、その管理においては、近隣の方々との調和も必要不可欠です。近隣の方々から公園利用のマナーなどについてご意見、ご要望をいただきます。区はお互いのご意見をよくお聞きした上で、必要と判断した場合、やむをえず看板を設置し、周知や注意喚起を行い、相互理解の上で公園を管理しています」という回答を寄せられたのが印象的だった。
キャッチボールがしたいという意見があると同時に、危険だからやめさせるべきという意見も寄せられるのだろう。公園で遊ぶ人と近隣住民、両方の憩いの場になることを願いたい。
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(取材・文/Sirabee 編集部・斎藤聡人)