麻雀、パチンコができるデイサービスを発見 施設で目にした光景に驚き

麻雀やパチンコを介護に導入したデイサービスがあるという。実際に現地に行ってみると…。

2023/03/21 04:15

■麻雀で四則計算を

ギャンブルをやったら、日常生活に支障を来す「ギャンブル依存」に陥るのではないか──。中には、こうしたイメージを抱く人もいるかもしれない。失礼ながら、森さんにこちらの疑問をぶつけた。

「開設当初から現在まで一人もいません。ケアマネージャーが正式なケアプランを立てて、計画的に運用していますからね。利用者の方にギャンブルをやらせて放置することもありません。ゲームという共通の話題を介して、スタッフと利用者がしっかり話すことを心がけています。麻雀をやったことのない若いスタッフは、利用者の方にルールを教えてもらいながら覚えていきます」(前出・森さん)。

施設で使われるお金に関して補足しておくと、1日2回の体操後、「ベガス」という1万円くらいの価値の「施設内通貨」を利用者に渡し、利用者はそれを使ってパチンコや麻雀をやるという仕組みだ。

一日のゲームを終えると、その日の勝ち負けや活動を集計する。ここにもメリットがあるようだ。「日常生活で要介護になると、計算する機会が失われます。麻雀は頭を使いますし、四則計算も必要です。従来型のデイサービスでは、計算ドリルをやっていただくことが多かったのですが、利用者の方からは『なんでこんな簡単な問題をやらせるんだ!』と反発する声もありました。また、他の利用者の方に『あんた、なんでこんなのもできないの?』と指摘して、傷ついてしまう方が多かったんです」(前出・森さん)。

計算ドリルも当然効果はあると思うが、高齢者に限らず苦手意識を抱く人も多いはず。その点、麻雀はゲーム感覚で自然と計算する力が付くのだろう。


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■利用者の家族からも反響

今回の取材を通して、どの利用者も生き生きした表情を浮かべているのが印象的だった。そうした姿を見て喜ぶ人がいるようで…。

「利用者のご家族が施設に来て、元気に麻雀をしているのを見て喜ばれる方が多いです。『うちの親父がパチンコやってるよ!』と嬉しそうに話されるご家族もいます(笑)」(前出・森さん)。

最後に、今後の目標について尋ねると、「ずっと家にこもっているとどうしても気持ちがふさいでしまいます。外に出ることが大切なので、ラスベガスが一つのきっかけになってほしいです。期待を寄せる方の力になりたいと思うので、何かしらゆかりのある場所に出店していきたいです。単に施設の数を増やすのではなく、社員の地元や昔仕事でお世話になったなど、縁のある場所に施設ができればと思います」と、力強い言葉が返ってきた。

”ギャンブル介護”はたくさんの老人を救う可能性を秘めている。

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(取材・文/Sirabee 編集部・斎藤聡人

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