「トマトを食べると花粉症が悪化する」説を検証 意外な事実に耳を疑う…
今年は、過去最強クラスの花粉が飛散する。巷でよく耳にする「トマトで花粉症悪化説」は正しいのか、検証した。
「花粉症つらすぎ」「この季節から逃げたい」──。3月に入り、花粉が猛威を振るっている。ネット上では、花粉症の人達の悲痛な声があがっている。
そんな花粉症に関して、かねてから「トマトを食べると花粉症が悪化する」という説がある。この説を検証してみると…。
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■過去最強クラスの花粉
スギ花粉は、2月から4月にかけて大量飛散する。東京都は、今春の花粉の飛散量は昨年の2.7倍、環境省もここ10年で過去最大と予測している。
今年は過去最強クラスの花粉が飛び交う年と言っても過言ではない。3月に入って、くしゃみや鼻水、目のかゆみといった花粉症の諸症状に苦しんでいる人も多いことだろう。
■「トマトで花粉症が悪化する」説
この時期、花粉症に関する様々な噂が飛び交う。中でも、「トマトを食べると花粉症が悪化する」という説はよく耳にする。
ネット上でも、「花粉症だからトマトを食べるの控えた」「この時期にトマト食べてかゆくなったことある」「トマトめちゃくちゃ好きなのに、花粉症だと食べちゃだめなのか…」「花粉症だと食べ物にも気を付けないといけないのか」など、この説に困惑する人の声が多数見受けられる。
「トマトで花粉症悪化説」は、医学的に根拠はあるのだろうか。新生児から高齢者、妊婦まで診る札幌のアルバアレルギークリニックの続木康伸院長に取材したところ、「意外な事実」が明らかになったのだ…。
■「花粉症から果物野菜アレルギーに」
続木院長によると、トマトで花粉症が悪化するわけではなく、花粉症から果物・野菜アレルギーになる可能性があるという。
「花粉症から果物・野菜アレルギーになってしまうことを、花粉食物アレルギー症候群といいます。花粉のアレルギーを起こす成分と果物のアレルギーを起こす成分が部分的に一致しているため、花粉と同じ成分が入ってきたと体が判断することで起こります。特に、シラカンバ(北海道に多く分布する落葉樹の一種)がこのアレルギーを起こしやすいです。頻度は少ないですが、スギでも起こります」(続木院長)。
つまり、スギのアレルギーと一致した成分を持つトマトを食べることで、体がスギ花粉が入ってきたと錯覚するということだ。巷に出回る説は当たらずとも遠からずといったところか…。
■トマトは食べないほうがいい?
果物・野菜アレルギーになった場合、どのような症状が出るのか。前出の続木院長は「花粉食物アレルギー症候群の場合、持っている花粉症の種類やアレルギー体質かどうかで、まったく症状が異なります。スギ花粉症からトマトアレルギーになると、ほとんどは口がかゆくなるといった症状です。シラカンバ等であれば、呼吸苦、蕁麻疹といった症状も出ます」と語る。
人によって症状が異なるので、一概に言い切れないのだろう。ネット上では、スギ花粉が大量に飛散するこの時期、トマトを食べるのを控える人も見受けられる。この行動は適切なのだろうか。
「そもそも、スギの花粉症で果物・野菜アレルギーを起こす人は少ないです。トマトを食べても食べなくてもアレルギーになる人はいるので、食べないことがよい方法とは言えません」(前出・続木院長)。医師から花粉食物アレルギー症候群と診断されているケースは別として、「2~4月はトマトは食べない!」と無理に制限する必要はなさそうだ。
花粉症の人にとって、まだまだ苦しい時期が続くが、ネットの噂にまどわされず適切な対策を取るようにしたい。
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(取材・文/Sirabee 編集部・斎藤聡人 取材協力/<a href="https://alba-allergy-clinic.com/">アルバアレルギークリニックの続木康伸院長)