亡き祖母の自宅を訪ねた男性を警察官が射殺 泥棒と間違われて通報され…
まだ28歳。人生これからというときに命を落としてしまった。
警察官に声をかけられ、驚いて逃げようとした男性。その結果、何度も撃たれて死亡していたこと、しかし遺族と警察の説明が食い違っていることを、『New York Post』などアメリカのメディアが伝えた。
■亡くなった祖母のアパートへ
アメリカ・オハイオ州で暮らしていたジョー・フレイザー・ジュニアさん(28)が、父親と一緒に祖母が生前暮らしていたアパートを訪問。しかしその様子を見ていた何者かが「泥棒だ」と勘違いし、「誰かがアパートへの侵入を試みている」と通報した。
そこで現場に急行した警察官たちは、ジョーさんたちの乗ったミニバンを発見。「すぐに出てきなさい」と命令したが、状況を飲み込めないジョーさんは応じようとせずにそのまま発進し、木に衝突してしまった。それでもジョーさんは停車せず、アクセルを踏み込んで警察官たちを驚かせた。
■発砲されて死亡
はねられそうになったと判断した警察官たちは、ミニバンに向けて4度発砲。銃弾を受け重傷を負ったジョーさんは運転できなくなり、車はそのまま建物に突っ込んで停止した。
エンジンがかかった状態のまま煙が上がり始めたため、警察官たちはドアをこじ開けてジョーさんを車の外へ。ただちに救命措置を施し病院に搬送したが、ジョーさんはその後に息を引き取った。
警察はこの件について「(関わった人)すべてにとって悲劇的なこと」「遺族のために祈ります」とコメントしている。
一方の遺族は当日のジョーさんについて「祖母が亡くなったのでアパートの片付けに行っただけ」「家族の手伝いをしていたにすぎないのです」と話し、怒りをあらわにした。
■怒りに震える遺族の主張
遺族のうち現場のアパートにいたションダ・コールマンさんはメディアの取材に応じ、「(警察官がジョーと父に)何か指示する声なんて、まったく聞こえませんでした」「聞こえたのは銃声だけです」とコメント。まずは警察官のボディーカメラ映像を確認したいと、希望を明かした。
またジョーさんの父親も取材に応じ「息子がミニバンで警察を狙った事実などありません」と話し、発砲した警察官たちを批判した。
■写真を公開し「正義を」と要求
遺族は地元メディアに生命維持装置をつけられたジョーさんの写真を公開し、友人たちと一緒に警察署の前で抗議活動を展開。「なぜ殺したのか知りたい」「望むのは正義」と主張した。警察側は、ボディーカメラの映像を検察庁などに提出済みだという。
もし通報の内容が誤っていなければ、またジョーさんが慌てずに警察官たちの命令に従っていれば、このような悲しい結果にはならなかったのかもしれない。
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(文/Sirabee 編集部・マローン 小原)