電車で疲れているとき席を譲る? タヌキ寝入りは30代が最多と判明…
【鉄道トレンド調査隊】席を譲るのは現代人のマナー。だがしかし、人間、譲れないときもある。4人に1人「譲らない派」の言い分とは…。
「優先席」が日本の鉄道で初めて導入されてから今年でちょうど50年。1973年の敬老の日に、旧国鉄の中央線と伊豆箱根鉄道で「シルバーシート」として誕生したのが始まりだ。
今や優先席エリアでなくても、お年寄りに席を譲ることは、現代人としての車内マナーのひとつだ。しかしながら人間、どうしても譲りたくないときもあるのでは。
今回は10〜60代の男女1,000人に「疲れ切った状態で電車の座席に座ったところ、目の前に杖をついた年寄りが乗ってきた…あなたならどうしますか?」という際どい質問をしてみた。いつもだったら譲るけど、とても疲れている場合は、話が違う人もいるだろう。みんな、どのように行動するのだろうか。
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■7割が「疲れていても席を譲る」
結果を見ると「譲る」が71.8%、「寝たふりをする」が19.7%、「起きたまま席を譲らない」が8.5%という結果になった。いくら自分が疲れていたとしても、目の前にお年寄りが来たら譲ってあげる、グッドマナーの日本人は多い。
筆者の周りにコメントを求めると「いくら疲れていても、お年寄りは大事にしたい。とくに何も考えずに譲ります」(20代女性)と言う声や、「本音は譲りたくなくても、『譲ってあげなよ』という周りから圧力めいたものを感じる」(30代男性)などの声があった。
一方で席を譲らない選択をした人(寝たふりをする、または、起きたまま席を譲らない)は、合計28.2%。じつに4人に1人以上という結果となった。
「もちろん気持ちとしては譲ってあげたい。しかしこちらも非常に疲れている。体に鞭打って立ち上がるのは申し訳ないができないと思う」(50代男性)、「法律で決まっているわけではない。疲れているときは勘弁してほしい」(30代女性)と言う声があった。
■もっとも席を譲らない年代は…
さらに、年代別の結果に注目しよう。譲らない(寝たふりをする・起きたまま席を譲らない)と答えた人は30代が最多で、その割合は37.2%。およそ3人に1人が席を譲っていないことになる。
次に譲らない人が多いのは20代で、29.3%だった。20〜30代は働き盛り。よほど疲れ切ってしまい、席を譲る体力や余裕がないのかと推測もできる。とはいえ「若者はマナーがなってない」と老害たちに指摘されてしまうのも仕方ないのかもしれない。
譲るか譲らないかは時と場合による、という声も聞かれた。「夕方の通勤時間帯は、帰りの席を確保するために10分以上ホームで並んでいる。苦労して取った座席は譲りたくない。逆に、地下鉄など簡単に座れたときは、まったく抵抗なく譲っています」(30代女性)。
■タヌキ寝入りを決め込む理由は?
「寝たふりをする」と「起きたまま席を譲らない」の年代別の割合をみてみよう。「寝たふりをする」と答えた人で最も多かった年代は30代で28.6%。
「譲らないのは罪悪感があるし、なんだか気まずい空気が流れる。寝たフリをすれば、世界がシャットダウンされて、罪悪感から逃げることができる」(30代男性)、「こちらも疲れているのだし、目をつぶって、結果寝てしまえばオーケーと感じる」(40代女性)と言う声があった。
とくに寝たふりもせず「起きたまま席を譲らない」答えた割合は20代が最多で11.3%。次いで40代(10.5%)と続いた。若い世代は、スマホ動画やゲームなどに集中している人も多いので、寝たふりをすることもないのかもしれない。
なかには「とくに席を譲る必要はないと思う。自分の前に立たれたとき『譲る気はありません』と鋭い視線で意思表示をしたことがある。その人は諦めたように、気の弱そうな女性客の前に移動していた」(40代男性)と言う声もあった。
お年寄りを大切にして、席を譲ってあげたいのは共通の思いだ。7割が譲ると回答したものの、疲れている日は、どうしても譲りたくないときもあるだろう。あなたなら、どうする?
■執筆者プロフィール
Sirabeeでは、鉄道トレンド総研所長の東香名子さんの連載コラム【鉄道トレンド調査隊】を公開しています。毎回、鉄道に関する調査を行い、解説する連載です。今週は「とても疲れているときでも、お年寄りに席を譲る?」を掲載しました。
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(取材・文/東香名子)