死者と会話できる人工知能サービス 高額な「バーチャル人間」に賛否両論の声
生前の姿をカメラに収め、人工知能がそれを模倣。音声や日記を記録させれば、遺族と思い出話をすることも可能だという。
韓国の人工知能企業が、死者と話すことができるというサービスを発表した。亡くなった人の画像や音声記録を機械に学習させ、バーチャルの人間に会話させるという。
「悲しみを和らげるのに役立つ」という主張がある一方で、拒否反応を示す人もいるようだと、『Daily Mail Online』や『DAILY STAR』などの海外メディアが報じている。
■生前の姿を撮影
韓国・ソウルに本社を置く、人工知能開発企業「DEEPBRAIN AI」が、驚くべきサービスの展開を発表した。死者の声や顔の表情を真似たバーチャル・リアリティーの人間を作り、会話できるようにするというのだ。
バーチャルの人間を作るためには、本人の写真や動画、音声記録などが必要となる。開発者は、癌などの末期症状を抱えるような人で、生前にカメラの前で数時間過ごすことができる人が、このサービスに適していると提案した。
■思い出話も楽しめる
さらに、生前に子供の頃の思い出などを記した日記をつけてもらえれば、それも人工知能に学習させることができる。そうすることで、バーチャル人間は故人の見た目や喋り方を模倣するだけにとどまらず、過去の話に花を咲かせることが可能になるという。
1人のバーチャル人間を作るのに2万ポンド(約320万円)かかるとされ、その後、遺族や友人が故人と話すたびに同社のスタジオを訪れ、1,000ポンド(約16万円)を支払う必要がある。
■「故人を引きずってしまう」の声
サービスの開発者は、「残された友人や家族が、悲しみに対処するのに役立つ」と主張。また「亡くなる直前の姿よりも、健康な状態を覚えていてほしいという人も多い」と話し、故人にとってもメリットのあるサービスであることを強調した。
一方で、「亡くなった人と話す」というアイデアに拒否反応を示す人も多く、「亡くなった人のことを引きずり続けてしまう」「亡くなったことを認めて、前に進む。それが残された人がすべきこと」「喋り方が似ていても本人じゃない」などとコメントが寄せられている。
■高額費用に非難も
また、このサービスを利用するのには高額な費用がかかることを取り上げ、「遺族を食い物にしている」と非難する声も寄せられた。
テクノロジーがもたらす画期的なサービスは、人々に幸福をもたらすこともあれば、思わぬ方向から傷つけてしまうこともある。その長期的な影響について慎重に吟味する必要があるだろう。
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(文/Sirabee 編集部・広江おと)