ウクライナ情勢はさらに泥沼化へ プーチンはさらに窮地に追いやられる
2023年が始まった。誰もがウクライナ戦争でこれ以上に犠牲者が増えないよう望んでいるが、戦況やさらに泥沼化する様相を呈している。
昨年2月24日以降、国際政治は新たなプロローグを迎えることになった。ウクライナ侵攻以降、米国を主導に欧米諸国は一斉にロシアへの制裁措置を発動し、ウクライナへの軍事支援を強化するようになった。
■昨年犯したプーチンの大失敗
ウラジーミル・プーチン大統領は当初、首都キーウを軍事的に掌握し、ゼレンスキー政権を崩壊に追いやり、親ロシア的な傀儡政権を樹立することを想定していただろう。しかし、戦況が侵攻する中、軍事支援を受けたウクライナ軍の攻勢が目立つようになり、ロシア軍の劣勢が顕著に見え始めるようになった。
そして昨年9月、プーチン大統領は軍隊経験者などの予備兵を招集するため部分的動員令を発令。しかし、モスクワやサンクトペテルブルクなど各地では部分的動員に反発する市民と治安部隊との間で衝突が相次ぎ、多くの逮捕者や負傷者が出るなど、それに反発する動きがロシア国内で一気に拡大した。
■大きな政治的汚点に
フィンランドやジョージア、カザフスタンなど隣国に避難する動きも激しくなった。また、プーチン大統領はドネツクとルハンシク、サボリージャとヘルソンの東部南部4州でロシア編入の是非を問う住民投票を行い、同4州をロシアへ併合する条約に署名した。
しかし、併合発表後もロシア軍の劣勢は続き、ロシアのセルゲイ・ショイグ国防相は11月、併合したヘルソン州から軍部隊を撤退させる方針を明らかにした。
これらはプーチン大統領にとって大きな政治的汚点になったことは間違いない。焦り始めたプーチン大統領は、部分的動員と4州併合という手段を通して劣勢を覆そうと狙ったが、それは悪いプレゼントしてそのまま同大統領に返品されることになった。
■今年はさらに情勢が悪化か
そのような中、ウクライナ国防当局は今年春あたりにロシアへの大規模攻撃を計画していると明らかにした。
とくに3月に戦闘が最も激しくなるだろうとの見方を示したが、劣勢に立つロシアがそれによってさらなる暴挙に出る可能性がある。現在、核兵器を使用する可能性は低いとされるが、余裕を失ったプーチン大統領は何をするか分からない。今年はさらに状況が悪化する恐れがある。
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(取材・文/セレソン 田中)