青森で見つけた2つの看板、違い分からないが… 「あるワード」めぐり論争が勃発
青森県弘前市で建て替えられた看板。この中で使われている「あるワード」がネットで話題になっていて…。
「そこのゴミ投げといて」と言われたのでゴミ箱に向けて放り投げる。すると、「ちょっと! なんで投げてるの!」と注意される──。
北海道や東北地方では、「ゴミを捨てる」を「ゴミを投げる」という意味で使うこともある。この方言を知らない人が聞くと、冒頭のようなやりとりが繰り広げられるというわけだ。
現在、青森県弘前市ではこの方言に関する新たな動きが起きていて…。
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■「投げないで」が「捨てないで」に
昨年12月、青森県の地方紙「弘前新聞」で、弘前市内で「雪を投げないで下さい」と呼びかける看板の表記が「雪を捨てないで下さい」に変更されていると報じられた。件の看板は水路への雪の投棄を防ぐために設置されたもの。
ここで使われている「投げる」は津軽弁で「捨てる」を意味する。ただ、弘前新聞によると、現在弘前市内では「投げないで下さい」と「捨てないで下さい」の看板が混在しているという。
■ネット上では様々な意見が
北海道・東北地方の人にとって馴染みのある「投げる」が「捨てる」に変わったことはSNSでも話題に。ネット上では、「実際、東北以外の地域に住んでる人には本当に通じない」「投げるだと乱暴な感じがするので捨てるの方がいい」「公共看板に方言だと分かりにくいかも」など、弘前市の取り組みに納得する声があがっている。
一方で、「地元の人に向けた看板なのだから、津軽弁のままでいいのでは?」「自分的には投げないのほうがしっくりくる」「ニュアンスは伝わるから投げるで大丈夫だと思う」など、「投げる」に愛着を持っている人々の声も見受けられる。
今後、弘前市にある「投げない」はすべて「捨てない」になるのだろうか。青森県弘前市道路維持課に取材したところ、意外な裏側が明らかになったのだ。
■看板を建て替えた経緯は…
まず、今回看板を建て替えることになった経緯について尋ねた。「看板が老朽化したため、新しく作ることにしました。その際、多くの人が理解できる『捨てない』に変えたんです。あくまでも老朽化した看板の更新が目的です」(弘前市道路維持課)。
「投げる」を片っ端から「捨てる」にしているわけではなく、古くなった看板を変えるタイミングで表記も変更しているということだ。
看板を変える際により多くの人に伝わる標準語表記に変えているそうだ。現在、「投げる」と「捨てる」の看板が混在している状況だが、どちらの表記が多いのだろうか。
「どちらの看板が何件と詳細な数字は把握しておりません。ただ、今のところ、『投げる』のほうが若干多い印象です」(前出・弘前市道路維持課)。
弘前市を訪れた際は看板の表記に注目してみるといいかもしれない。
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(取材・文/Sirabee 編集部・斎藤聡人)