がん死した女性患者の子を育てる看護師 「親切なあなたに託したい」と懇願され…
8歳の子を残して逝くがんの母親。看護師にも子供がおり、その不安が痛いほど理解できたという。
愛するわが子が幼いにもかかわらず、がんとの壮絶な闘いを強いられたアメリカのシングルマザー。死期が迫っていると感じたときの一番の不安は、「この子はどうなるのだろう」ということだった。
だがそんな女性は、ひとりの看護師のおかげで安心して天に召されたという。愛あふれる話題を『PEOPLE』誌が紹介し、人々を涙させている。
■稀有の病に侵される
2014年12月、アメリカ・ペンシルバニア州のUPMCコミュニティ・オステオパシック病院の緩和ケア病棟で、ひとりのシングルマザーが息を引き取った。
女性の名は、トリッシュ・ソマーズさん(享年45)。2014年3月、血管内皮細胞から発生する「類上皮血管内皮腫」という極めて珍しい軟部肉腫に侵されていることを告知され、治療の効果が現れないなか、やがて余命数ヶ月と宣告された。
■「私が死んだらこの子は…」
トリッシュさんには、8歳のひとり息子であるウェズリーくんがいた。その成長を見届けられない悔しさと同時に、「自分が死んだら、誰がこの子の世話をしてくれるのだろう」という切実な不安に直面した。
落ち込むトリッシュさんを度々なぐさめていたのは、看護師のトリシア・シーマンさん。
当時41歳で同世代の子供がおり、我がことのように心配してくれるトリシアさんに、トリッシュさんはある日「私の死後、ウェズリーを育てていただけませんか?」と尋ねた。意を決しての真剣な懇願だった。
■感謝と安心のなか息を引き取る
死に直面しているがん患者を、絶望、悲しみ、悔しさのどん底から少しでも救ってあげたい、世の中のために貢献したいと考え、看護師の仕事を続けていたトリシアさん。自宅に戻ると、夫のダンさんと4人の子供たちに事情を話した。
彼らの答えは「イエス」だった。ウェズリーくんを家族として迎えたいという前向きな返事に、トリッシュさんは大感激。感謝の気持ちと安心感のなかで、ほどどなくして最期を迎えたという。
■時間がかかった養子縁組
母親を亡くした孤独感、絶望感で長いカウンセリングが必要だったウェズリーくんだが、2020年7月には養子縁組の手続きが済み、現在はシーマン家のメンバーとして元気に高校に通っている。
ウェズリーくんは『PEOPLE』の取材に「僕はとても幸運で、家族には心から感謝しています」「運転免許を取得し、アイスクリーム屋でアルバイトをするようになりました。ミルクシェイクに母の愛情を思い出します」などと話している。
■看護師の家族の一員として少年は16歳に
ウェズリーくんは、右から3番目の黒いTシャツの少年。同世代のきょうだいに囲まれ楽しく暮らしていることを、天国の母であるトリッシュさんも、心から喜んでいるに違いない。
What a beautiful happy ending : 8 Years After Dying Patient Pleaded with Nurse to Raise Her Son, the Boy Is Thriving: 'I'm Grateful Every Day' – People https://t.co/ZD0F5CeWjV
— Sayhah (@segardner1030) November 10, 2022
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(文/Sirabee 編集部・浅野 ナオミ)