がん死した女性患者の子を育てる看護師 「親切なあなたに託したい」と懇願され…

8歳の子を残して逝くがんの母親。看護師にも子供がおり、その不安が痛いほど理解できたという。

2022/11/16 06:30

入院・病室・女性

愛するわが子が幼いにもかかわらず、がんとの壮絶な闘いを強いられたアメリカのシングルマザー。死期が迫っていると感じたときの一番の不安は、「この子はどうなるのだろう」ということだった。

だがそんな女性は、ひとりの看護師のおかげで安心して天に召されたという。愛あふれる話題を『PEOPLE』誌が紹介し、人々を涙させている。

【写真】少年は今、家族の一員として幸せに暮らしている


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■稀有の病に侵される

2014年12月、アメリカ・ペンシルバニア州のUPMCコミュニティ・オステオパシック病院の緩和ケア病棟で、ひとりのシングルマザーが息を引き取った。

女性の名は、トリッシュ・ソマーズさん(享年45)。2014年3月、血管内皮細胞から発生する「類上皮血管内皮腫」という極めて珍しい軟部肉腫に侵されていることを告知され、治療の効果が現れないなか、やがて余命数ヶ月と宣告された。

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■「私が死んだらこの子は…」

トリッシュさんには、8歳のひとり息子であるウェズリーくんがいた。その成長を見届けられない悔しさと同時に、「自分が死んだら、誰がこの子の世話をしてくれるのだろう」という切実な不安に直面した。

落ち込むトリッシュさんを度々なぐさめていたのは、看護師のトリシア・シーマンさん。

当時41歳で同世代の子供がおり、我がことのように心配してくれるトリシアさんに、トリッシュさんはある日「私の死後、ウェズリーを育てていただけませんか?」と尋ねた。意を決しての真剣な懇願だった。


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■感謝と安心のなか息を引き取る

死に直面しているがん患者を、絶望、悲しみ、悔しさのどん底から少しでも救ってあげたい、世の中のために貢献したいと考え、看護師の仕事を続けていたトリシアさん。自宅に戻ると、夫のダンさんと4人の子供たちに事情を話した。

彼らの答えは「イエス」だった。ウェズリーくんを家族として迎えたいという前向きな返事に、トリッシュさんは大感激。感謝の気持ちと安心感のなかで、ほどどなくして最期を迎えたという。


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■時間がかかった養子縁組

母親を亡くした孤独感、絶望感で長いカウンセリングが必要だったウェズリーくんだが、2020年7月には養子縁組の手続きが済み、現在はシーマン家のメンバーとして元気に高校に通っている。

ウェズリーくんは『PEOPLE』の取材に「僕はとても幸運で、家族には心から感謝しています」「運転免許を取得し、アイスクリーム屋でアルバイトをするようになりました。ミルクシェイクに母の愛情を思い出します」などと話している。

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■看護師の家族の一員として少年は16歳に

ウェズリーくんは、右から3番目の黒いTシャツの少年。同世代のきょうだいに囲まれ楽しく暮らしていることを、天国の母であるトリッシュさんも、心から喜んでいるに違いない。

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(文/Sirabee 編集部・浅野 ナオミ

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