マイナンバーカード、「こんなに遅いと思わなかった」 申請者が怒った理由
2024年に事実上の「強制」となるマイナンバーカード。交付までは時間がかかるようで…。
■2024年までに切り替え
マイナンバーカードは、個人番号(マイナンバー)が記載された顔写真、ICチップ付きのプラスチック製カードだ。表面には氏名、住所、生年月日、性別、裏面にはマイナンバーと個人認証機能ができるICチップがある。
2016年1月から交付されたが、利用率は高いとは言えなかった。そうした状況を見かねたのか、政府は2024年秋に現行の紙の健康保険証を原則廃止し、マイナンバーカードと一体化した「マイナ保険証」へ切り替えることを目標に掲げた。
カードを持つことが事実上の”強制”となるため、ネット上では賛否両論となっている。
■「時間がかかって面倒」
マイナカードの申請を考えている人も多いことだろう。3年前転職したのを機にカードを作ったという30代男性のAさんは、当時を思い出して怒りをにじませる。
「申請して受け取るまですごく時間がかかり、面倒だったのを覚えています。作ったはいいもののほとんど使う機会がなくて仕舞ったら、どこに入れたか忘れてしまって…。再発行なんてことになったらまたあの手続きをしなきゃいけないので慌てて探していますよ」(Aさん)。
「あの手続き」と聞いても、カードを持っていない人はピンと来ないだろう。受け取りまでの流れとしては、「郵送、オンライン、まちなかの証明写真機等で申請」→「自宅に交付通知書が届く」→「各市区町村窓口で受け取り」という3段階だ。これだけ見るとすぐにもらえそうなものだが、Aさんは受け取りまでの「苦労」を語るのだった…。
■「通知書が来ない」
Aさんは3年前の3月半ばにオンラインで申請したという。「申請の手続きは簡単でした。でも、待てど暮せど交付通知書が届かない。4月初めに入社したのですが、その時点でまだ手元にカードがありませんでした。会社には事情を説明して問題なかったのですが、結局通知書が来たのは4月下旬。免許は1日、パスポートも1週間くらいでできるのに、こんなに遅いとは思いませんでしたよ」(前出・Aさん)。
マイナンバーカード総合サイトの手続きの流れを見ると、「申請後、審査を経て概ね1か月ほどでカードを発行し、お住まいの市区町村に送付いたします」と記載されている。ある程度時間がかかることは頭に入れておく必要があるだろう。
通知書を受け取って、役所に行こうとしたAさんだったが…。「ちょうどゴールデンウィークと重なって役所が休みになってしまったんです。連休明けで仕事が忙しくなったこともあって、結局受け取りに行けたのは5月中旬でした」(前出・Aさん)。
■受け取る際も苦労して…
役所で受け取るには、交付通知書や免許証など規定の書類を持参して直接足を運ぶ必要がある。前出のAさんはここでも苦労したようだ。
「ちょうど新年度だったからか、役所もすごく混んでいて手続きしてもらえるまで1時間以上かかりました。マイナンバーのシステムはハイテクなのに、こんなに時間と手間がかかるシステムは何とかならないんでしょうか? これから作る人はできるだけ早めに申請して、余裕のある時に受け取りに行ったほうがいいと思います」(前出・Aさん)。
Aさんの場合、仕事の都合もあり、申請から受け取りまでに2ヶ月かかったことになる。政府も手続きに時間がかかることは課題だと考えているようで、10月31日に岸田文雄総理が発行手続きの短縮化について関係閣僚と話し合ったことが報じられている。
来年以降、申請の手続きをする人はさらに増えるだろう。それまでにこの「課題」を解決してほしいが…。
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(取材・文/Sirabee 編集部・斎藤聡人)