仲本工事さんが過小評価される秘密 仲本さんでわかる「ドリフが最強」の理由とは

ザ・ドリフターズの隠れた象徴ともいえる仲本工事さんの能力と、ドリフのコントの特徴を考察する。

2022/10/23 07:30

■ドリフメンバーの個性

『もしもシリーズ』は、メンバー1人1人の個性で笑いをとるもので、ドリフ以外ではそうそうできそうにない構造を持っている。

ドリフに最も近づくことができたバラエティ集団は、『めちゃ×2イケてるッ!』(フジテレビ系)のメンバーだろうか。「めちゃイケ」メンバーは、個々人の個性とグループのバランスに優れていただろう。お笑い史を振り返ってもやはり、ドリフメンバーの個性は非常に優れている。


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■ドリフのコントと仲本さん

『もしもシリーズ』からもよくわかることで、ドリフのコントは非常に緻密で優れたもの。特に仲本さんのポジションは、キャラクターを強くするわけでもなく、派手さで勝負せず、顔芸でもない。

ドリフのコントは、キャラクターを全面に出すものではなく、日常社会におけるズレを誇張などしながら面白おかしく描き出すなど、緻密に計算された笑いだ。ときに社会派な部分もある。ゆえに、いつ観ても何度観ても楽しめるもの。

緻密な笑いを、愛嬌と優れた自然な演技で表現しきる仲本さんこそが、ドリフの象徴といっても過言でないだろう。仲本さんの代表作にいかりやさんと2人で演じる『ばか兄弟』があるのも必然か。


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■お笑いの原点としてのドリフ

いかりやさんの絶え間ない努力で、毎週練られたコントを行うというドリフの営みは、ゆえに約半世紀に及んで現在も楽しまれている。一方でドリフは、アドリブ性とスター性に富むビートたけし・タモリらビッグ3などのタレントにバトンを受け渡していく。

今や芸人が溢れかえっており、吉本興業をはじめとして、いかに芸人を売り出すかに余念がない状況。仲本さんも現在の若きタレントならばマルチな才能で、より多様に活躍しただろう。

お笑いだけでなく、音楽に演技にと多面的な才能を発揮した仲本さんとドリフは今後も廃れることなく、タレントの原点として参照され続けるに違いない。

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(文/メディア評論家・宮室 信洋

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