一酸化炭素中毒で子供ら30人以上が救急搬送 託児所の暖房器具に不具合
目にも見えない無臭の毒ガス。これが一酸化炭素中毒の恐ろしさだ。
このほどアメリカ・ペンシルベニア州にある託児施設で、暖房機の不具合により室内に一酸化炭素が充満し、子供たちを含む数十名が救急搬送された。冬期に多発する恐ろしい事故の話題を『abc News』『USA TODAY』などが報じている。
■保護者の評価が高いデイケアで…
暖房器具の故障が原因となったその事故は、ペンシルベニア州リーハイ郡のアレンタウン市にある「ハッピー・スマイルズ・ラーニング・センター(Happy Smiles Learning Center)」というデイケア(託児所)で起きた。
ここは朝6時から開いている知育も熱心なデイケアで、8人のスタッフが常駐。約40人の子どもが預けられていた。Facebookなどによると、保護者からの評価はとても高いようだ。
■CO濃度計から警報音
11日、そのデイケアから「子供たちが次々に意識を失い、倒れている」との通報を受け、アレンタウン消防署から緊急車両が続々と出動した。
ジョン・クリストファー署長によれば、隊員たちが施設内の空気を調査しようと一酸化炭素CO濃度計を取り出したところ、いきなり致死的な濃度であることを示すアラームが鳴り響いたという。
■救急車が足りず…
同デイケアから、これまで30人以上がセントルークス大学ヘルスネットワークを含む4つの病院に搬送されたが、救急車が足りず、現場に駆け付けた保護者の車も利用された。
圧倒的に子供たちの数が多いといい、適切な治療を受けたことで全員の容体は安定しているが、めまいや気分の悪さ、精神不安を訴える子供も少なくないようだ。
■一酸化炭素検知器の取り付け
アレンタウン消防署は、原因とみられる暖房器具を調査。燃焼部分の故障と排気管の目詰まりを発見したほか、施設に対し、市の新たな条例で一酸化炭素検知器の取り付けが義務付けられたことを説明したという。
一酸化炭素中毒の恐ろしさについても、「アメリカでは毎年の冬、大変な数の人がこの目に見えない無臭の毒ガスで死亡している」と指摘。ガスや石油による暖房器具を使用している場合は、毎年必ず点検を行ってほしい」と呼び掛けている。
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(文/Sirabee 編集部・浅野 ナオミ)