週刊誌の「芸能人隠し撮り写真」は罪になる? 弁護士に聞いてみると…

ここ数年、物議を醸す週刊誌の「隠し撮り写真」。罪に問われる可能性はあるのだろうか…。

2022/10/14 04:15

写真イメージ

「人気女優○○がイケメン社長と”お泊り愛”」「清純派女優○○、スーパーでの爆買い姿目撃撮!」「俳優○○が子供の運動会で見せた”イクメンぶり”」──。芸能人の熱愛、買い物、はたまた子供の学校行事に参加する様子などを報じる週刊誌の「隠し撮り写真」。

世間を動かす影響力がある一方、ここ数年はネット上で「盗撮じゃないのか」「肖像権の侵害だろ」など批判的な声も多い。週刊誌が激写した写真は罪になるのか、弁護士に聞いてみると…。


関連記事:つるの剛士、家族からの誕生日サプライズに感動 「天使なのか女神なのか…」

■タレント本人が苦言

ここ数年、週刊誌にプライベートを報じられたタレント本人が、SNS等で苦言を呈すことが多い。今年3月にお笑いタレントの梶原雄太がYou Tubeで、子供の卒業式に出席した様子を女性週刊誌に掲載されたことを受け、「子供のことは書かんといてほしい」と発言。

俳優・賀来賢人も昨年、複数の週刊誌に子供の姿を隠し撮りされたことに対し、自身のインスタグラムで「もし次、私の子供を盗撮した記事を例えモザイクをつけたとしても、載せた場合、私は本当に怒ります」と怒りをにじませた。

ネット上では、「週刊誌って盗撮ストーキング行為でアウトだと思う」「週刊誌のスクープ写真は盗撮じゃないの?」「張り込み写真ってプライバシーの侵害では」「プライバシーや肖像権の侵害だと思う。なんで週刊誌はこれやって許されるの?」など、厳しい声が多数あがっている。

関連記事:デーブ・スペクター、芸能人コメンテーターをバッサリ 「ふさわしくない人が…」

■意外と知らない「盗撮」の定義

週刊誌に限らず、最近は一般人が芸能人の買い物する様子を隠し撮りしたと思われる写真をSNSに投稿することもある。そもそも、一般人がそうした「隠し撮り写真」をアップすることで罪に問われることはないのだろうか。

河西邦剛弁護士

多数の芸能トラブル案件を扱うとともに著作権、商標権等の知的財産分野に詳しい河西邦剛弁護士によると、「罪に問われる可能性は低いです。もっとも刑事上の責任は生じませんが、民事上の責任が生じる可能性はあります」とのこと。ネットでよく言われる「盗撮」に当たらないのだろうか。

「少なくとも犯罪としての『盗撮』には該当しません。 例えば、日常的にテレビでは東京・渋谷の交差点などでロケをしていますが、その際多数の一般人、中には芸能人が写り込むこともあります。 これらは写っている人からすれば、撮られていることに気付かずある意味『盗撮』と思うかもしれません。ただ、基本的には犯罪にも違法にもならないということが前提にあります。犯罪としての盗撮というのは、例えばスカートの中の下着や裸など通常衣服で隠れている場所が対象になります」(河西弁護士)。

そうなると、週刊誌の「隠し撮り写真」も盗撮にはならないということだ。

関連記事:Matt、クラブ遊び報じた週刊誌にまさかの要求 「レタッチします」

■「タレントの子供」の写真は…

そうした前提を踏まえた上で、週刊誌がタレントが食事や買い物する様子を激写し、世に発信することが罪に問われる可能性はないか尋ねた。「罪に問われる可能性は低いです。もっとも民事上の責任を問われる可能性はあり、プライバシー権侵害で週刊誌が訴えられるケースは散見されています」(前出・河西弁護士)。

では、梶原や賀来が苦言を呈すような「タレントの子供の写真」 を掲載したことで罪に問われる可能性はあるのだろうか。前出の河西弁護士は理論上、2人の権利を侵害することになると指摘する。

「芸能人自身と、子供の肖像権侵害に当たります。そもそも芸能人にもプライバシー権や肖像権は認められますし、一般人である子供についてはなおさらプライバシー保護の観点からも肖像権侵害となりやすいです。実際に損害が生じたとすれば、SNS投稿者のキャリア情報から住所氏名が特定され、損害倍書請求や差止めの訴訟を起こされる可能性もあります。モザイク加工されていても、背景写真から住所や学校が特定されれば肖像権ではなくプライバシー権の侵害となる可能性があります」(前出・河西弁護士)。


関連記事:長嶋一茂、週刊誌に“マズイ写真”撮られ再撮を提案 相手の女性とはその後…

■週刊誌は”自粛”傾向か

週刊誌側からすると、タレントの子供の写真を掲載することは訴訟を起こされる「リスク」を抱えることになる。ある出版業界関係者は、最近は週刊誌側も”自粛”する傾向にあると語る。

「以前は複数の週刊誌が、タレントの子供が通う学校の入学式や卒業式、運動会など行事の様子を報じていましたが、最近はそういう報道が減っている印象です。タレント本人や所属事務所から抗議されたことを受けて、できるだけ子供と一緒に写った写真は使わないようにしているそうです。世間の反応も厳しいですし、ネットで炎上するのは避けたいのでしょう」(出版業界関係者)。

週刊誌サイドも対策は講じているというわけだ。芸能人も彼らの子供も、一人の人間であるということを忘れてはならない。

・合わせて読みたい→つるの剛士、家族からの誕生日サプライズに感動 「天使なのか女神なのか…」

(取材・文/Sirabee 編集部・斎藤聡人

【Amazonセール情報】ココからチェック!