クリミア大橋で大規模火災が発生 両国の歴史的関係と人々の反応を解説
要人たちの主張が食い違い、両国とも混乱の最中にあることが分かる。
ウクライナ南部のクリミア半島と、ロシアを結ぶ大橋「クリミア大橋」で8日朝、大規模な火災が発生した。軍備品や物資などの供給に使用される、ロシアにとって非常に重要な大橋が崩壊したことで、火災の原因に関してさまざまな説が囁かれている。
以下では、『CNN』や『BBC NEWS』などの海外メディアが報じた内容と伏せて、クリミア半島を巡るロシアとウクライナの歴史的な関係、またソーシャルメディア上での人々の反応や考察について紹介する。
■トラックが爆発し大規模火災に
8日午前6時(日本時間同日正午)頃、クリミア半島とロシア本土を結ぶ唯一の橋、クリミア橋で爆発が起きた。クリミア大橋は自動車と鉄道の専用橋で、この度の火災では、道路部分が最初に爆発し、その影響で鉄道の石油タンカーが炎上、その後、道路部分が崩壊した。
燃料を積んだ貨物列車が激しく燃え盛り、崩壊した道路が海に浸水している様子が、ソーシャルメディア上で広く共有されて話題になっている。
爆発の原因に関しては、まざまな思惑が入り混じる状況で、現在も詳しい調査が行われている。ロシア当局の主張によると、火災はあくまで、「燃料をのせたトラックが爆発してしまった」とのことであり、ウクライナの関与については言及していない。
■ウクライナの関与は?
ウクライナの大統領顧問であるミハイロ・ポドヤク氏も、「違法なものは全て破壊し、盗まれたものは全てウクライナに戻さなければならない」とツイートしているが、ウクライナによる火災の責任は主張しなかった。
一方、クリミア当局者はこの爆発を、「ウクライナの破壊者が、ついにクリミアの橋に血まみれの手を伸ばすことに成功した」せいだと非難しており、ウクライナの関与を示唆している。
■クリミア半島における両国の関係
そもそも、クリミア半島を巡るロシアとウクライナの関係は、どのようなものなのだろうか。
ウクライナ南部に位置するクリミア半島は、ソ連の時代には、ソ連の統治下にあった。第二次世界大戦後の1954年、クリミア半島はウクライナの管轄に移り、ソ連の崩壊後もロシアはウクライナのクリミア半島領有を認めていた。
■ロシア系住民による反発
ところが、そこには多くのロシア系住民がいた。彼らはロシア語を話し、ロシア系であるにも関わらず「ウクライナ人」であるということに納得がいかず、2014年に一方的に住民投票を実施し、ロシアの編入を決定してしまった。
ロシアのヴラジミール・プーチン大統領は、ロシアとクリミア半島の併合を宣言したが、当然ウクライナは強く反発し、国際社会からの非難も上がる状況だった。