中露共闘で脅かされる日本の安全保障 北海道周辺ではロシア、沖縄周辺では中国
ウクライナに侵攻したロシアと台湾情勢で緊張を高める中国が反欧米で結束。その脅威の最前線にある日本の平和や安全は…。
■中国軍とロシア軍が合同軍事演習
両軍は海上通信・海上経済活動エリアの防衛や、沿岸地域の地上部隊の行動に協力する演習を行ったとされる。
中国軍が参加したということは、中国軍の軍艦などが東シナ海から対馬海峡を通過し、日本海に向かったということで、極めて深刻な事態だ。
■過去にも繰り返される中露共闘
しかし、こういったケースは今回が初めてではない。昨年10月にも、中国とロシアの海軍の艦艇が北海道の奥尻島南西およそ110キロの日本海で中露艦艇が航行するのが確認され、その後、津軽海峡から太平洋へ抜け、千葉県犬吠埼、伊豆諸島、高知県足摺岬沖、大隅海峡を通過した。
また、同月、中露両軍は4日間の日程で、極東ウラジオストク沖で戦闘機による射撃や潜水艦による探査など軍事演習を行った。
今年3月にも、中国とロシアの軍用機が相次いで韓国の防空識別圏に進入した。韓国軍によると、中国の軍用機が済州島付近の防空識別圏に、ロシアの軍用機が韓国東海岸の日本海上空の防空識別圏にそれぞれ進入したという。
■中露北の3正面脅威に直面する日本
これまで、日本にとっての最大の安全保障上の課題は中国で、脅威は沖縄という日本の南方にあった。しかし、ウクライナ侵攻によってロシアという脅威があることがまざまざと分かり、日本は南方+北方で対応する必要性に迫られている。
そして、核ミサイル開発を続ける北朝鮮という脅威を加えれば、正に日本は3正面脅威に直面しているといえる。北朝鮮が中露と協力体制を取ることは考えにくいが、日本はこれまでなく厳しい安全保障環境に陥っている。
もう1つ忘れてはならないのは、中露が最も意識しているのは米国であるが、日本は世界最大規模の米軍駐留国であり、日本は米中露という大国間対立の最前線にあることを我々は忘れてはならない。
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(取材・文/Sirabee 編集部・セレソン 田中)