世界最大の格ゲー大会、実況の「4文字」絶叫に耳を疑う… 日本勢からは称賛の声

世界最大規模の格闘ゲームの祭典・EVOにて興奮した実況者の口から放たれた日本語「4文字」が、多くの日本人各ゲーマーに衝撃を与えており…。

2022/08/10 11:15

■再評価著しい「クソゲー」の魅力

自身も『ストリートファイター』シリーズを中心に、格闘ゲームをプレイしているツイート投稿主・八木さん。

元々は格闘ゲームに関する情報を多数発信している「HiFight」(ハイファイト)氏がこちらの動画をツイートしているのを見て自身も大いに衝撃を受け、この思いを人々と共有したいと感じ、件のツイートを投稿したという。

そもそも「クソゲー」とは本来、ゲームバランスがおかしかったり明確なバグが確認できるゲームなどを指すネガティブな表現であったが、近年では再評価が進み、「遊びたくないクソゲー」から「むしろ遊んでみたいクソゲー」として認識するゲーマーも少なくない。

特にユーチューバー・からすま氏は、クソゲーに対する理解やテンポの良いトーク、動画の随所に散りばめられた小ネタ、ギリギリを攻める姿勢はもちろん、自身の体に異変をきたしてもプレイを辞さないクソゲー愛が多くの視聴者のハートを掴み、「近代クソゲーの再評価」に大きく貢献した人物である。

またネット上では毎年「クソゲーオブザイヤー」(KOTY)という、その年一番のクソゲーを決定する祭典が開催され、多くのゲーマーにクソゲーの奥深さを啓蒙しているのだ。

さらに言うと「クソゲー」自体も近年では多義語になりつつあり、クソゲー界の征夷大将軍と名高い『デスクリムゾン』や『メジャーWii パーフェクトクローザー』などを指すのが本来の用途なのだが、格ゲーマーの間では「愚痴や文句」の類として使用されるケースも少なくない。

例えば多くの格闘ゲームでは、相手の投げ技に対してタイミング良くボタンを押すことで技を抜けられる「投げ抜け」(グラップ)と呼ばれる防御テクニックが存在するのだが、反応が一瞬遅れただけでも投げが成立してしまうため、当事者としては「投げ抜けしたのに投げられた」としか感じられない事態がしばしば起こり、エキサイトした格ゲーマーは「は? グラップしたわ!」「何だこのクソゲー?」といった好戦的な独り言を発してしまうのである。

つまり、本来であれば「クソゲー」と評価されるに値しない、対極の位置にある「神ゲー」に当たるバランスの作品も、場合によってはプレイヤーから「クソゲー」と揶揄されてしまうケースはじゅうぶんに起こりえるのだ。


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■「後日談」も面白過ぎる…

また格闘ゲームには「ぶっぱ」(ぷっぱなし、パナし)という概念が存在し、これはセオリー通りの状況ならば使用しない必殺技などを発動する行為で、格ゲーマーの中では「当たれば正義」の名の下で施行される。

そして今回話題となった「KUSOGEEEEEEE!」の一幕では、フランス勢のWawa選手が突如、ゴジータのメテオ超必殺技を「パナし」たワケなのだが、こちらの技は対戦中に特殊行動を7回成立させなければ発動できない代わりに、ヒットすれば最大20,000ものダメージ(作中の基本体力は10,000)を与えられる即死技。

そんなピーキーな性能をした技がEVOの大舞台でパナされ、見事クリーンヒットを決めたため、リアルタイムで見ていた観客・実況者がいかに興奮したかが伺えるというものだろう。

そのため、話題となった対戦のシチュエーションは広義では「クソゲー」に抵触するものと判断され、多くの日本人格ゲーマーは実況者に対して「日本語への造詣が深い」というポジティブな意見を寄せているのだ。

なお「KUSOGEEEEEEE!」で一躍「時の人」となった実況者はTy Hazard氏というプロレスラーで、大きなバズりを見せた八木さんのツイートに対し「ゴジータのこのムーブに対して、私はいつもこうして叫んでいるんです」「DBFZを応援してくれてありがとうございます」と紳士的なリプライを送り、「KUSOGEEEEEEE!」が彼にとって鉄板ネタであることを明かしてくれたのだ。

ちなみに海外勢とも交流がある格ゲーマー・DESORA氏に海外のクソゲー事情について確認してもらったところ、フランス勢からは「よほど日本のカルチャーに詳しい人物なら分かるが、大半のゲーマーは『KUSOGE』の概念を理解できないだろう」との回答があったという。

また中国勢からは「垃圾游戏」(直訳でゴミゲーム)という単語があるにはあるが「格ゲーの対戦中に用いるようなフレーズではない」との回答が返ってきたそうだ。

日本から世界に羽ばたきつつあるクソゲー。各国に誇るべきこの文化を後世に受け継いでいくのが、我われ日本人ゲーマーの務めではないだろうか。

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(取材・文/Sirabee 編集部・秋山 はじめ

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