体調不良を教員らに「ホームシック」と判断された少年 修学旅行先の外国で死亡
実家から遠く離れた外国で亡くなった少年。家族は今も悲しみに暮れている。
重度の症状に苦しんでいたにも関わらず、教員らに「ホームシック」と判断された少年が、修学旅行先の国で死亡した。
体調不良の訴えをまともに取り合ってもらえなかった少年の苦しみと、その家族の悲痛な想いが『Mirror』や『Mail Online』などの海外メディアで取り上げられ、大きな話題となっている。
■嘔吐の原因は「ホームシック」
オーストラリア出身のティモシー・フェリングさん(15)は、ヨーロッパを周る修学旅行中に、何度も嘔吐を繰り返していた。ベルリンで飛行機から降りて初めて嘔吐した時に、教員たちは「飛行機で食べた辛い物で胃もたれを起こした」と思い、特に気に留めなかったという。
翌日、ティモシーさんは胃痙攣の症状に襲われながら目覚め、食事をとることができなかった。その後も嘔吐を繰り返して体調不調を訴え続け、2日後にやっと病院に行くことができたという。
引率の教員は医師に、ティモシーさんの不調は「時差ボケや食べ物の違い、ホームシックからきている」と説明。それを聞いた医師は特に疑わず、「ホームシックは水と果物をとれば明日には良くなる」と診断した。
■病院の会計中に死亡
さらに翌日、生徒たちはウィーンに移動し、ウォーキングツアーに参加した。ティモシーさんは拒んだにも関わらず参加するよう促され、目の下に黒いクマを作った顔で嘔吐袋を手に持ち、足を引きずりながら歩いていたという。
翌々日、体調が改善しないティモシーさんは再び病院に行くことになったが、診察も検査もされず、教員の要求で不安神経症の薬を処方されただけだった。
しかし教員が診察代を支払っている間に、ティモシーさんは「息苦しい」と訴え、そのまま亡くなった。体重は1週間の間に5キロ以上も減っていたという。
■喪失感に苛まれている家族
その後の調査で、ティモシーさんは肺と血液に広がった感染症によって、心臓が停止した可能性が高いことが明らかになった。
ティモシーさんの家族は、今も息子を失った喪失感に苛まれているという。母親は「私たちが経験したような悲しい出来事が、もうどの家族にも起こってほしくありません」と話し、生徒数に対する教員数の比率を上げ、修学旅行や遠足には看護師を同行させることを提案している。
■「悪夢のような出来事」の声
報道を目にした人々からは、「ホームシックで吐き気をもよおすなんてあり得ない。教員や医者はなんのためにいるんだ」「10代の子が自分から病院に行きたがるって、絶対になにかあるのに」と、見当違いの判断を下した教員や医師を非難する声が上がった。
その他にも、「彼はとてもつらかったに違いない…」「悪夢のような出来事だ。家族が早く立ち直れますように」とティモシーさんやその家族の苦しみに同情するコメントも多く寄せられている。
楽しいはずの修学旅行先で起こってしまった悲劇。学校側の制度と教員たちの意識の改善が、期待される。
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(文/Sirabee 編集部・広江おと)