日本で最後の「アンナミラーズ」閉店で… ”予想外のハプニング”が起きていた
8月末で閉店となる「アンナミラーズ」。同店の看板メニューであるパイは絶品だった…。
「諸行無常」という言葉があるように、すべてのものは日々移り変わり、永遠に変わらないものはない。ただ、多くの人にとって「これだけは変わらないで欲しかった」というものもある。
レストラン「アンナミラーズ」もその1つだ。8月末をもって閉店となるお店を訪れると…。
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■1973年にスタート
「アンナミラーズ」(以下、アンミラ)は1973年、南青山に1号店を出したのが始まりだ。練りパイと呼ばれる食感のあるパイ生地と、濃厚なカスタードクリームを使ったパイが名物。コーヒーのおかわり無料サービスやウェイトレスが着る白ブラウスにミニスカートという制服によって、多くのファンを獲得した。
その後、東京の自由が丘、目黒、吉祥寺、下北沢など若者に人気のエリアに出店を重ね、25店舗を構えたが、生活スタイルの変化などもあり徐々に閉店。営業を続けるのは高輪店のみとなっていた。
今回、日本最後となる高輪店も閉店することになったのだ。
■平日の午前中で大行列
「最後の日」まで約1ヶ月となった7月下旬の午前10時、「アンミラ」に足を運んだ。お店の前に着くと、20人近く並んでいた。同店の名物であるパイのテイクアウトに長蛇の列ができていたのだ。
そんな列を尻目にお店に入ろうとしたところ、店の前にある機械で手続きするよう求められる。混雑防止のために整理券制となっているのだ。
平日の朝10時すぎにも関わらず、先客はなんと35組…。同店の営業時間は午前9時から午後10時まで。早く来たつもりだったが、こんなに待つとは思わなかった。
近くのカフェで仕事をしながら待つこと2時間、ようやくお店に入れることになった。
これほど大盛況になるのは、お店にとっても訪れる人にとっても、予想外の「ハプニング」だったのではないか。ちなみに受付を済ませると、QRコードでアクセスできる同店のウェブサイトで後何組か確認でき、設定すれば自分の番が来たらメールやLINEで知らせてもらうことも可能だ。
■やはり絶品のパイ
「アンミラ」の料理はどれも魅力的で迷ったが、バジルを使った「シュリンプのペストソーススパゲッティ」(1,452円)と「バナナパイ」(660円)を注文(いずれも税込み価格)。パスタもおいしかったのだが、バナナパイに感動した。記者は甘いもの、特にケーキは苦手なのだが、アンミラのパイは絶品だったのだ。
そこで、1990年代に販売していた復活商品「ココナッツカスタード」(660円)と人気の「バナナチョコレート」(660円)をテイクアウト。
「ココナッツ」は濃厚なカスタードクリームにローストしたココナッツの相性が抜群だ。サクサクのパイ生地の食感もあって、さくっと食べられてしまう。
「バナナチョコ」はゴロっとした大きなバナナがたくさん入っている。
甘さを抑えたチョコソースの上には、生クリームがたっぷり。甘いものはそこまで得意ではない記者も、まったく苦にならないおいしさだ。
■気になる今後は…
平日の午前中からテイクアウトに長蛇の列ができ、店内も2時間待ちになるなど、多くの人に愛されていることがうかがえる「アンミラ」。同店の公式ホームページによると、今回の閉店は国土交通省から品川駅西口基盤整備事業に伴う移転要請を受けたため。
気になる今後に関しては、高輪店同様の集客力が得られる立地候補を検討しているが、現状新規出店は未定とのこと。場所を変えて「復活」する可能性もゼロではないということだが…。
「アンミラ」好きもスイーツ好きも、気になる人は「最後の日」までに足を運んでおきたい。
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(取材・文/Sirabee 編集部・斎藤聡人)