死んだメスバエと交尾を促す「ゾンビ菌」 死後時間がたつほどオスには魅力的に…
メスの行動を操り、死んだ後もオスをおびき寄せる恐るべき真菌。オスは死体と交尾し次の宿主に…。
一般的なイエバエに感染し、メスの体を操ってオスを呼び寄せ、死体と交尾を行わせる「ゾンビ菌」と呼ばれる真菌。その恐ろしい特徴について、『The National Desk』『Science Daily』などの海外メディアが報じている。
■ハエをコントロールする菌
デンマークのコペンハーゲン大学の研究によると、真菌はまずメスのハエに胞子を感染させ、約6日かけてゆっくりとハエの全身を侵食するという。
次に、真菌が体を完全に乗っ取ると、メスの行動をコントロール。そのハエが到達できる最も高い場所まで飛ばせ、そこでハエを殺してしまう。
■死んだメスはオスを誘引
真菌がハエを殺すと、メスの体からはオスを誘う「セスキテルペン」という化学物質が放出するようになる。オスはメスのハエの死体と交尾しようとするが、感染したメスと接触したことで胞子を浴びてしまい、やがて同じ運命をたどるのだという。
さらに、オスは死ぬまでの間に遠くまで移動する可能性があるため、こうしてこの真菌は生存圏を広げていくのだ。
■死後時間がたつほど魅力的に…
大学の調査によると、死んだメスは時間がたてばたつほど「魅力的」になることが示されている。腐敗している時間が長いほど、オスのハエを強く誘引するというのだ。
この研究では、オスのハエの15%が死後3~8時間経過したメスと交尾。死後25~30時間経過したメスと交尾したオスは、73%にもなったという。
■ハエ避けの研究につながる可能性
ハエの体を乗っ取り、自らの活動範囲を広げるために死後すらも利用するこの真菌は、研究者たちからは「ゾンビ菌」とも呼ばれている。
ハエ相手とはいえ思わず背筋がゾッとするような研究だが、研究者によると、将来的にはより効果的なハエの忌避剤の開発につながる可能性があるそうだ。
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(文/Sirabee 編集部・びやじま)